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注目選手レビュー(初日から3日目)/駒大苫小牧、日本文理、豊川、福知山成美、履正社編

駒大苫小牧高編


 明治神宮大会に続き、1番で登場の伊藤優希は1安打1打点2盗塁と期待通りの活躍を見せた。徹底的にマークされる中、3回裏1死三塁の好機では、やや詰まりながらも三遊間を破る先制タイムリー。そして、執拗なけん制を受けながらもすかさず二盗、2死後には三盗を決めチームに勢いをもたらした。



 今季から三塁への偽投が禁止されたこともあり相手投手を大きく揺さぶり、押し出しの2点目につながった。三盗は相手投手を観察した上で確信のトライ。50メートル5秒8の足の威力と洞察力の高さを見せつけた。ひと冬を越えて、記録上での体重増は少ないが、体に強さが増した印象だ。次戦以降マークは厳しくなるが、駒苫野球を象徴するスピードスターの活躍に期待したい。

 この日の守備機会は多くなかったが、二つの飛球を無難に処理し、左飛へのカバーリングも完璧。履正社高との次戦(26日第3試合の予定)では、驚異的な守備範囲の広さで甲子園を沸かせてほしい。


日本文理高編


 投打に期待された飯塚悟史。打の方では、ほとんどの打席で変化球を引っ掛けて、セカンドゴロ、ファーストゴロ。相手投手が好投を続け、接戦ということもあり、一発を狙った、という心理もわかるが……。唯一、逆方向に打ったレフトフライは好守に阻まれたものの、140キロのアウトローをあそこまで運べたことをプラスに感じて、続く打席に入れていたら、と悔やまれる。



 投ではいい感じの脱力とコントロール重視のピッチング。自信を持つスライダーでストライクをきっちり取れ、フォークの落ちもよかった。投打において、もっと期待していた人も多いかもしれないが、昨春〜夏の状態から、ここまで持ち直したことを評価したい。

 ヒーローになりそこねた星兼太。序盤は豊川のエース・田中に手が出なかったが、8回のセンター越えの先制二塁打、12回のショートが顔を背けるような勢いある打球は、打てるボールを逃さずに自分の形で打てた証明。守備でも、ライト線際のフライを好捕したり、なんといっても、9回裏のライト前ヒットを、ホームベース上へのストライク返球は完璧だった。



豊川高編


 劇的な甲子園1勝を挙げた豊川のエース・田中空良に花丸をあげたい。疲労が著しかった試合後半は“参考外”。7回までに限れば被安打3、その内容で十分だ。投球イニングスと同じだけの被安打を浴びる昨秋までの姿から一変していた。



 ややアーム傾向だった腕の振りが一冬で改善され、柔らかく使えるようになったことが大きい。打者寄りまでリリースを引っ張れるようになり、スライダーも球持ちがよくなったから、打者が空振りする。体の硬さが解消され、ますます思い切って腕が振れていた。

 さらに、ストレート、スライダーの右打者の外角低めへの制球にも成長の跡が見えた。昨秋の県大会決勝では、序盤から高めに浮いた球をもっていかれていたが、この試合ではアウトローへの感覚を立ち上がりからスムーズに発揮できていた。

 捕手の氷見泰介は、打席での雰囲気が増していた。ビハインドの9回裏、先頭打者としてセンターへ弾き返した安打は、高いセンスと集中力を感じさせた。


福知山成美高編


 エース・石原丈路は、切れ味抜群の投球が魅力の左腕。ストレートは常時130キロ前後だが、球速表示以上のスピード感。そこに90キロ台のスローカーブ、120キロ前後のスライダーも高精度で、高校生にとっては攻略困難な投手だろう。特にスライダーはストレートと同じ軌道から打者の手元でキュッと曲がり、空振りを奪うことができる。ランナーが出ても、ピッチングが変わらないのも達者だ。

 まだ体格的に細く、ボールから体の芯の強さを感じることはできないが、低めでも生きたボールがくる好球質。まずは大学での成長を見てみたいが、現段階でも好意的な印象を持つスカウトは必ずいるはず。




履正社高編


 4番を務める中山翔太は、昨夏の甲子園でパワフルな打撃を見せつけた近田拓矢(大阪桐蔭高→亜細亜大)を彷彿とさせる巨体とタイミングの取り方。軸足に体重をどしっと乗せてボールを待ち、豪快なスイングが持ち味。しかし、センバツ初戦では都小山台高・伊藤優輔の前に3三振。リーチが長いだけにインサイドと高めのボールがさばけず、苦労しているのがありありと見えた。今後の野球人生でも付き合っていかなければならない課題。「内を意識させられて、最後は外に逃げる変化球」のパターンに対して、最後にセンター前へタイムリーを放って一つの答えを出した。これからも猛烈なマークにどう立ち向かっていくか楽しみ。



 大器と噂の永谷暢章。試合中にブルペンでの投球をチェックした。長身右腕だが、しなやかに腕を振るタイプではなく、ガツッと硬質の剛球で勝負するパワータイプに見えた。スピードと球威、あとはマウンドでの威圧感である程度押せるはず。ノーワインドアップからゆったりとしたモーションで始動するが、体重移動で腰が前に出てこない。それゆえストレートが低めにいかず、150キロ近い球速でも当てられる遠因になっていると見る。もう体一つ前に出てきたらどうなるのか見てみたい。



■北海道担当ライタープロフィール
長壁 明(おさかべ・あきら)/1968年生まれ。札幌在住の高校野球ライター。北海道高校野球雑誌「北の球児たち」を2011年に創刊し、取材、撮影、編集、営業とすべて一人でこなしている。3月上旬に第10号を発売する。北海野球部部史を編纂し高校野球史にもこだわる。

■東海地区担当ライタープロフィール
尾関 雄一朗(おぜき・ゆういちろう)/1984年生まれ、岐阜県出身。新聞記者を経て、現在は東海圏の高校、大学、社会人を精力的に取材している。今年は母校・名古屋大のドラフト候補・七原優介の動向が気になっている。

■北信越地区担当・編集部

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