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約5年ぶりの勝利! から振り返る過去の勝利に貢献してきた東大野球部・名選手たち

 5月23日、法政大を6-4で下し、東京六大学リーグの連敗を94で止めた東京大。2010年秋に斎藤佑樹(当時早稲田大/現日本ハム)から挙げた1勝以来となる大金星となった。

 長い長いトンネルの間には49回の完封負けやノーヒットノーラン、完全試合を食らうこともあった。

 そもそも他の5大学と違い、野球での推薦・セレクションが一切ない東京大にとって、学力如何を抜きにして、たった1勝を挙げることがどんなに難しいことか、容易く想像できるだろう。

 しかし、長い「六大学」の歴史において、強豪相手に立ち回った戦士がいる。そんな最高学府で実績を残した「東大名選手」を紹介しよう。

▲歴史的勝利を挙げた東京大野球部。過去にはこんな名選手もいた!

「六大学」の所以となった黄金バッテリー


 1925年秋、東京六大学リーグ発足当時の東京帝大(現東京大)を支えたのが、東武雄と清水健太郎のバッテリーだった。

 東京六大学リーグがまだ東京大を除く「五大学」だった時代、リーグは新規加盟校として東京大に声をかけた。しかし、現在ほどではなかったものの、当時も他の大学と比べれば戦力は落ちる。そこで、1925年春に明治大、慶應義塾大、立教大、早稲田大とのテスト対戦が組まれることとなった。

 そこで活躍したのが力投派右腕の東だ。負けるものかと、力のこもった東のピッチングもあり、東京大は大奮闘。立教大に3−1で勝利を収めるなど、勝負になることを見せつけ、見事「六」大学リーグ誕生をたぐり寄せた。

 そして東−清水の黄金バッテリーは正規のリーグ戦でも大活躍。東はリーグ戦60試合で16勝32敗を挙げ、1927年の立教大戦では東京大野球部史上唯一となるノーヒットノーランも達成している。

優勝まであと1歩にこぎつけた両山崎


 1946年春のリーグ戦。東京大が史上最高位となる2位につけたシーズンでチームを牽引したのが、投手・山崎諭と捕手・山崎喜暉の山崎バッテリーだった。

 静岡県立掛川中(現掛川西高)時代には甲子園にも出場した山崎諭は東京大のエースに君臨。戦後の物資不足もあり、各校1本勝負、全5試合のリーグ戦で破竹の4連勝を挙げ、リーグ最終戦は「勝てば優勝」という慶應義塾大との一騎打ちにもつれ込んだ。

 試合は0−1で敗れたものの、これが東京大にとって、最も優勝に近付いた瞬間だった。

 山崎諭の通算成績11勝14敗。このシーズンがもし10試合制だったなら……、と語り継がれる名投手だった。

 山崎諭は大学卒業後、日本興業銀行でも選手として活躍。のちに東海大三高の校長兼野球部監督となり、1980年には指揮官としても春のセンバツに出場している。

名投手続々、神宮を沸かせた“東大戦士”


 1960年代に東京大史上最多となるリーグ戦17勝(35敗)を挙げたのが岡村甫だ。アンダースローで打者を翻弄する変則派の岡村は、絶妙な間合いを駆使して、打たせて取るピッチングで通算防御率2.82の好成績を収めた。

 また、1974年に破格の新人投手である法政大・江川卓に初めて土をつけたのも実は東京大である。投手・山本隆樹の粘投や魚住弘人(現日立GE会長)の3安打もあり、5−0の快勝。意外な大物食いも東京大野球部の見どころの1つだ。

 1982年の新人戦で歴代最高の準優勝の原動力となったのが、現在NHKのアナウンサーで3月末まで『ニュースウォッチ9』のキャスターを務めていた大越健介だ。今やNHKのアナウンサーとしての顔が有名だが、東京大在学時代は熱きアンダースロー右腕。50試合で8勝27敗防御率3.52の成績を収め、1983年には日米大学野球の日本代表に選出された文武両道エリートだ。

 新治伸治、井手峻、小林至、遠藤良平、松家卓弘は東大からプロへと進んだスーパー野球人。いずれも大学時代にはエース級の活躍をしたピッチャーで、新治伸治は大洋(1965〜1968年在籍)で9勝を挙げ、井手峻は中日(1967〜1976年在籍)で外野手に転向し、東大出身選手としてNPB初の本塁打も記録している。

 そのほか、1995年春のリーグ戦で首位打者になり、「東大のイチロー」と呼ばれた間宮敦など、野手でも好プレーヤーがたびたび出現している。これからも野球エリートたちに立ち向かう稀代の好選手の出現に期待したい。

(文=落合初春)

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