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アナタが支える明日のパ・リーグ。源田壮亮(西武)、茂木栄五郎(楽天)ら未来を託せる若手野手!

ルーキーながら開幕スタメンを勝ち取った源田壮亮(西武)と2年目のジンクスを感じさせない実力を見せる茂木栄五郎(楽天)

 西武ファンの筆者にとって、今季、ここまでの嬉しい誤算といえば源田壮亮の大活躍。

 中島宏之(オリックス)がチームを離れて以来、浅村栄斗をしても定着できなかった西武の正遊撃手の座を、ついに射止めようとするルーキーが出現したことは、嬉しい限りだ。

 今季は、他球団にも「未来の明るい若手」がひしめいていることから、数年後にパ・リーグ新時代のターニングポイントとして振り返る年になるかもしれない。

 そこで今回は、今の奮闘ぶりを楽しみつつ、未来に思いを馳せたくなる若手野手にクローズアップ。

辻チルドレンの一番手が絶賛躍動中


 冒頭でも触れたが、一番に挙げたい若手は、ルーキーながら全試合全イニングに出場し、日に日に存在感を高めている源田だ。

 守備重視を掲げた辻発彦新監督のもと、社会人で指折りだった守備力を買われて開幕戦に9番・遊撃で出場。安打こそ出なかったが、バントに犠牲フライと渋い働きを見せ、下位打線と上位打線のつなぎ役を果たした。

 ドラフト時から「守備に比べて打撃はイマイチ……」と評価されていたため、しばらくは9番で固定されると思いきや、5試合目で早くも2番に昇格。すると人が変わったかのように安打を量産し始める。

 驚いたのは4月21日の日本ハム戦から4月28日のロッテ戦にかけて、7試合連続安打を放ったこと。うち5試合でマルチ安打、1試合で猛打賞と14安打を荒稼ぎし、打率を爆上げした。

 その後もほぼ止まらず打ち続け、打率.314でパ・リーグの打率ランキング8位に食い込んできた。7位につけるチームメイトの秋山翔吾(打率.319)を抜きそうな気配を漂わせるほどのブレイクだ。

 ちなみに肝心の守備は、3、4月は23試合で6つの失策を犯したが、5月は11試合でいまだノーエラー。打撃の調子がよくても、調子に乗ってポカをやらかさないのは大学(愛知学院大)や社会人(トヨタ自動車)での経験が生きているからだろう。

 辻野球の申し子から、まだまだ目が離せない。

2年目のジンクスを吹き飛ばす打棒


 パ・リーグの首位を守る楽天。勝ち星を積み上げてきた原動力の一つが、2年目にしてリードオフマンの座をつかんだ茂木栄五郎だ。

 昨季は打率.278、7本塁打を記録。高梨裕稔(日本ハム)と新人王を争いながら15票差で涙をのんだ。

 その悔しさをぶつけるかのように、今季は開幕から順調に安打を積み重ね、打率3割台をキープ。本塁打も5月14日のソフトバンク戦で8号を放ち、早くも昨季の本塁打数を超えた。

 守備面でも大きく成長。元々は三塁手だったが、プロで本格的に始めた遊撃手としてのプレーも板についてきた。今季は失策が2つ。昨季の19失策を思うと、ベンチもファンも安心して見られるようになったはず。

 攻守に渡って劇的な進化を遂げている茂木は、シーズン終了時にどんな成績を残しているのか。


「ポスト柳田」とはオレのこと!


 なかなか1番打者を固められず、4月の終盤から1番が日替わりとなっているソフトバンク。3番・柳田悠岐、チームリーダー・松田宣浩の不調もあり、下位に低迷していたが、それでも勝ち星(23勝)で首位・楽天と肩を並べるまでに上昇。優勝候補筆頭の底力を発揮してきた。

 開幕から不調をかこった面々を支えたのは、打率.343の4番・内川聖一、リーグ2位タイの9本塁打のデスパイネ。そして、プロ入り4年目ブレイク中の外野手・上林誠知だ。

 高校球界の名門・仙台育英で1年から4番を打っていたスラッガーは、プロ入り2年目の2015年に、1軍で15試合の出場ながら打率3割をマーク。ブレイクの片鱗を見せていた。

 昨季は14試合で打率.211と振るわなかったが、捲土重来、今季は開幕1軍をゲット。まだ規定打席未満ではあるものの、打率.308、6本塁打、17打点と、鷹打線に厚みを加えている。

 5月に入ってからは、1試合2本塁打、2試合連続本塁打、猛打賞2回と、無双状態。試しに柳田に代えて3番で起用したり、1番打者で起用してみても……、と思わずにはいられない。


パ・リーグ1年生が


 プロ入り9年目……と書くと、「若手」にはそぐわないと感じる人もいるかと思うが、「パ・リーグ1年生」ということで、あえてここで触れたいのが大田泰示(日本ハム)だ。

 昨オフの仰天トレードで日本ハムにやってきて、心機一転と思いきや、ケガで開幕2軍スタート。ケガという不運に見舞われたとはいえ、トレードという「ショック療法」でも開花できないとなると、いよいよ崖っぷちも崖っぷち。大田の未来を危惧する向きも多かったのではないだろうか。

 しかし、チームが借金11という未曾有の窮地に追い込まれるなか、4月23日に1軍から声がかかる。昇格直後、チームは3連敗したものの、大田が今季初本塁打を放った4月29日の楽天戦から、なんと11勝3敗と息を吹き返した。

 「華のある男」大田の一発がチームに勢いをもたらしたことは想像に難くない。

 打率は.228と上がってこないが、5月3日のロッテ戦ではサヨナラヒットを放ち、チームは最下位を脱出。5月12日のロッテ戦では涌井秀章から2本塁打を放ってみせた。

 パ・リーグ1年生の大田が「V字回復劇」の原動力となるか。上向くチーム状態との相乗効果で、これまでの鬱憤を晴らす活躍を見せてほしい。


若手が伝説の選手になる姿を見届ける


 若手が芽を出すと、そのポジションは10年安泰といわれる。それだけに球団やファンは若手の台頭に期待しているが、現実はなかなか甘くない。

 だからこそチャンスをつかんだ選手は、その「未来への種」を決して離すことなく、確固たる主力選手に育っていってほしい。そしてゆくゆくはレジェンドへ……。

 今回紹介した4人はその権利を持っている。10年後、20年後の姿が楽しみでならない。

(成績は5月15日現在)


文=森田真悟(もりた・しんご)

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