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引退試合にまつわるトークで盛り上がりをみせたのが、この日の企画「金村義明のすべらない事件簿」での一幕だ。
「忘れもしない。僕の引退試合は、1999年9月30日。普通、引退試合って、ホームでやるでしょ！ でも僕の引退試合、なぜか千葉マリンに呼ばれたんですよ」
金村義明は1982年、「甲子園優勝投手」の看板を引っさげ、近鉄バファローズに入団。プロ入り後は強打の内野手として活躍し、1995年にFAで中日ドラゴンズへ移籍。その後、1997年から引退するまでの2年間プレーしたのが西武ライオンズだった。
「敵地ですから、西武ファンなんて80人くらい。その代わり、満員のライトスタンドが『うぉおおおお』と盛り上げてくれて……。ロッテファン、どんだけ熱いねん！ どんだけ俺のこと好きやねん!! と。それ以来、ロッテファン大好きなんですよ。でも、後日、日本ハムの上田（利治）監督の最後の試合でも、同じように盛り上げてて（笑）。あの愛情は、俺に、じゃなくて、ロッテファンの通常運転だったというね」
ちなみにこの引退試合、金村はサードでスタメン出場。最後まで試合に出る予定もあったというが、1打席だけで退いている。
「引退するって決めていたから1カ月何もしてないし、守備なんて出るつもりないから、手ぶらで行ってますよ。だから、1年目の松坂大輔からグローブ借りて試合に出て」
第一打席、ロッテの先発は薮田安彦。受けるキャッチャーは清水将海。
「僕、試合前から泣いてるんです。ボール見えないんです。なのに、薮田は初球、144キロのストレート！ もう、ビックリしまして。で、2球目がまさかのフォークボール。引っ掛けてダブルプレー。こんなの、4打席耐えられない！ と、1打席だけで代えてもらいました（笑）。それにしても、普通、引退試合って、気持ちよく打たせるものでしょ。消化試合ですよ。フォークボールはあかん、という話、僕が『ジャンクSPORTS』で喋って、初めて気づいたみたいですからね、薮田。あの男、天然でした」
金村の「最終打席フォーク勝負」を聞いて、「金村さん、ちょっといいですか」と切り返したのが、聞き役に徹していたホスト役の里崎智也だ。
「金村さん、もうその“フォークで引退”話、あちこちで語り尽くしますよね？ そろそろ、僕にいただけないですか？ 僕も実は引退試合、フォークで2三振してるんです。半年間試合に出てないんだから、打てるはずがない！ でも、金村さんがその話をすると、僕の引退話ができないんですよ。金村さんはフォーク、バットに当たってるからいいじゃないですか」
だが、さすがは金村。さらに切り返す。
「いやいや、一緒にしてもらったらあかんよ。サトの引退試合、よく覚えてるけど、歌までうたってまるでロックスターみたいな引退試合だったでしょ。あんなのズルいわぁ」
この「引退試合」エピソードは、トークイベントのほんの一部。むしろ、他の部分は文字にするのはためらうような球界裏事情が続き、満員の会場を終始笑いで包んだ。
そんな、“球界ここだけの話”が満載の「里崎智也のプロ野球語り呑み」。次回開催は8月16日。BCリーグ・福島ホープスの監督を務め、ホストである里崎部長とは第1回のWBC（2006年）を一緒に戦った仲である岩村明憲がゲストとして登場する。イベント情報について、詳しくはオンラインコミュニティ「乾杯！ほろ酔いプロ野球部」のホームページ（https://bukatsu.hikaritv.net/campaign/0018/）で。
（文中、敬称略）
文＝オグマナオト
