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メジャーリーガーの原点…アットホームな雰囲気の球場を愉しむ〜ビリングス・ムスタングス〜≪第4回≫

【この記事の読みどころ】
・ファン同士の交流も楽しいマイナーリーグ観戦
・大洋ホエールズを懐かしむスタッフと遭遇
・球団を愛するファンとのふれあいも旅の楽しみ

選手ともファン同士も“距離”が近いムスタングス


 ビリングス・ムスタングス(シンシナティ・レッズ傘下)の本拠地ディーラーパークには、開門直後に行ってみよう。なぜなら、間近で練習を見ることができるからだ。トレーニングコーチの指導の下、入念に行うストレッチや、横一列にならんでキャッチボールする姿、バッティングケージを自分たちで片づける姿は、日本の高校野球の練習を思い起こさせてくれる。グラウンドと観客席が近いため試合開始前に選手にサインをねだることも可能だ。スター扱いに慣れていないルーキーたちは快くサインに応じてくれる。

 このようなこともあり、ムスタングスファンたちの行動は早い。通常、ディーラーパークの開場は試合開始の1時間半前だ。しかし、そのさらに1時間半前、つまり試合開始の3時間前に私が球場に到着した時にはすでに何人かのファンが入場ゲートの前で開門を待っていた。

「なんでこんなに早く来たのかって? もちろん、それはいい席を取るためだよ。それに早く来れば球場の目の前に車を止められるし、他のファンと交流ができるからね。家族で楽しむのには最高の場所だよ。スタッフもいい人たちばかりだし」

 そう笑顔で話してくれたのは心からムスタングを愛しているファン歴15年のジョン・マラーズさんとファン歴6年のシェリル・ルビーノさん。

▲ファン歴15年のマラーズさん(右)とルビーのさん

 マラーズさんとルビーノさんのようにいろんな人と話をしようと、私も開門と同時の入場を試みた。まず真っ先に向かったのはムスタングスオフィシャルショップ。

「ビジター用の黒い帽子やオルタネイト用の帽子も人気ですが、やっぱりホームで着用する赤い帽子が一番人気ですね」

 笑顔で丁寧に説明してくれたのは女性売店員のジェイン・クロッカーさん。私が日本から野球を見に来たことを伝えると

「私ね、横浜に行ったことがあるの。その時、父とホエールズの試合を見たのよ。楽しかったわ」

 と少女のような顔で当時の思い出を語ってくれた。今はベイスターズというチーム名に変わっていることを伝えると、「あら、そうなの? 残念ねぇ……」とちょっぴりさみしそうな表情を浮かべたのが印象的だった。

▲ホエールズの思い出を語ってくれたクロッカーさん(右)

メジャーリーガーの原点に触れる旅


 試合前にムスタングスのユニフォームを着た2人の少年がベンチ前にいたので何をしているか話しかけてみた。

「僕たちは地元の高校生でバットボーイのアルバイトをしているんだ。野球が大好きでこの仕事を誇りに思っているよ。来年も絶対にバットボーイをやるんだ!」

 と目をキラキラさせながら話してくれたのは地元のビリングス高校に通うマシュー・ハンス君とペイトン・エリス君。

 今回の取材で感じたことは、ファンもスタッフも本当に野球を、地元球団を愛していること。メジャーに比べれば球場も小さい、観客数も少ない、球団スタッフも少ない。逆にそれが球場全体をアットホームな雰囲気に変えてくれる。

 もちろん選手たちのプレーは真剣そのものだ。メジャーの選手たちに比べれば技術は劣るかもしれない。しかし、少しでも上のクラスに昇格できるよう、がむしゃらにプレーしているルーキーたちの姿はものすごく格好よく見える。メジャーリーガーの原点とも言えるルーキーリーグを一度観戦すると病みつきになってしまうかも!?

▲試合開始前の国歌斉唱


■ライター・プロフィール
白柿佳(しらかき・よし) / 20代前半に渡米しマスコミ学の修士号を取得。テレビカメラマンを経て、現在カナダを拠点に取材活動展開中。野球と旅行をこよなく愛すフリーランスライター。その他『地球の歩き方 旅いさら』、『カルガリー・ウォーカー』でも執筆中。

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