1巡目で花巻東の超高校級左腕・菊池雄星に6球団が競合し、西武・渡辺久信監督(当時)が引き当てた2009年のドラフト会議。特別協賛として東芝がスポンサーとなり、一般公募でファンが観覧するなど、それまでよりもショーアップされたものに変わった。
そんな2009年のドラフト会議から6年が経つ。果たしてあの時の各球団の下した選択は正しかったのか検証してみたい。
2009年の12球団ドラフト1位を改めて見てみると、高卒組の活躍が目立っている。
横浜1位の筒香嘉智は、プロ5年目の昨年、打率3割、22本塁打、77打点の成績で一気にブレイクすると、今季は開幕から4番に座り、打率.317、24本塁打、93打点と、自己最高の成績を残しチームの顔にまで成長した。
また、ソフトバンク1位の今宮健太は、高い身体能力を生かした守備でレギュラーに定着。打ってはつなぎ役として強打者揃いのソフトバンクで貴重な役割を果たしている。2年連続でゴールデングラブ賞を受賞し、リーグを代表するショートと言っても過言ではない。
他にも今年は50試合に登板し、中継ぎ陣の一角を担った中日1位の岡田俊哉。2011年から3年連続で50試合以上登板を果たした広島1位の今村猛。今年は惜しくも自身初の2ケタ勝利に届かなかった西武1位の菊地雄星と、各球団で主力、または主力に近い働きを見せている。
また、ドラフト2位では楽天2位の西田哲朗が、昨年131試合に出場し、松井稼頭央に変わってショートのレギュラーに。今季は精彩を欠いたが、今後が楽しみな存在だ。
大学生・社会人のドラフト1位の多くが伸び悩む中、その実力を発揮しているのは巨人1位の長野久義。首位打者1回、最多安打1回とタイトルも獲得し、巨人には欠かせない選手となっている。
各球団別で見ると、ロッテは指名選手が4人(育成指名除く)と少なかった。しかし、全選手が戦力となっているのは特筆すべき点だろう。
1位の荻野貴司は、ルーキーイヤーの2010年に25盗塁をマーク。5月にケガでシーズンを棒に振ったが多くの野球ファンにその快足ぶりを印象付けた。その後、ケガが相次いだものの、今年は後半戦で1番に固定され、輝きを取り戻している。
そして、4位の清田育宏は今年急成長を遂げた。1年目には日本シリーズで優秀選手賞を受賞する活躍を見せるが、その後低迷する。しかし、今年はシーズン途中からヒットを重ね3番に定着して殻を破った。
2位の大谷智久は守護神・西野勇士へとつなぐ絶対的なセットアッパーとして活躍。3位の大嶺翔太は昨年初めて1軍出場を果たし2本塁打。今年復活を遂げた兄・祐太には負けられない。
一方、逆に6年経ってみると活躍している選手が少ないのはソフトバンク。5人の選手を指名し、1位の今宮を除いた4選手がチームを去っている。
また、下位指名から活躍した選手を挙げると中日5位の大島洋平、日本ハム5位の増井浩俊。育成ドラフトで見ると横浜育成1位の国吉佑樹がいる。この顔ぶれを見ても、2009年のドラフトは豊作だったといえるのではないだろうか。
文=武山智史(たけやま・さとし)