2015年のプレミア12の準決勝・韓国戦。好投する大谷翔平(日本ハム)を代え、逆転負けを喫したあたりから、小久保采配を疑問視する声がメディア内外で聞こえてきた。
そんななかで愚痴の一つもこぼさず、小久保監督は「選手を信じ」、戦い続けた。WBC本番では第3の捕手と思われた小林誠司(巨人)を正捕手に抜擢し大成功。内川聖一(ソフトバンク)の代打起用のタイミングも的確だった。
一歩間違えれば批判の的になりうる局面でズバズバと采配が的中。6連勝で準決勝進出を決めると批判は声を潜め、「小久保名采配」と評価する声が大きくなった。
結果的にはプレミア12と同じ準決勝敗退という成績に終わったが、「指導者・小久保」の評価は上がり、今後の野球界での指導者の道がさらに大きく開けた。
小久保氏はどのチームの指揮を執る可能性が高いのか。普通に考えると古巣・ソフトバンクとなるが、球団は昨年オフに工藤公康監督の長期政権を発表したばかり。仮に工藤監督が辞任することがあっても、秋山幸二前監督の復活も噂されており、しばらく空きは無さそうだ。さらに先となると、内川がその座に就くことも予想される。監督の目はなさそうに見える。
もし、ソフトバンクで指導者と考えると10年先に内川監督、小久保ヘッドコーチと侍ジャパンの師弟コンビで組むのも面白いかもしれない。そのときには投手コーチに斉藤和巳氏、バッテリーコーチに城島健司氏、さらに2軍監督に松中信彦氏が就くとなればオールドファンにとってはたまらないのだが……。
筆者はソフトバンクの監督にはならない可能性が高いと見るが、そうだとするとどこの監督になるのか?
それは……、巨人。
その理由を挙げていこう。まず、生え抜き以外の監督がいない巨人だが、2006年に小久保氏は生え抜き以外で初のキャプテンになった過去がある。
また、小久保氏の師匠・王貞治氏(ソフトバンク球団会長)が巨人OB会前会長で、今でも巨人と繋がりがあること。さらにプレミア12以降多くの評論家が小久保氏の采配を酷評するなか、巨人OB会で発言力の強い広岡達朗氏は小久保氏の采配を褒めていたこと。
それらを考えると、小久保氏が生え抜き以外初の監督に抜擢される可能性も否定できない。
ほかの去就先として頭に浮かぶのは、ソフトバンクOBが指導者、選手として在籍するケースの多いオリックス。小久保氏は和歌山県出身ということもあり、可能性もある。大穴として考えると、母校・青山学院大の指導者。案外、小久保氏らしい選択という気がするのは私だけだろうか。
いずれにしても指導者キャリアゼロで、侍ジャパンの監督をまっとうした小久保氏には敬意を称したい。またユニフォームを着て、まだまだ野球界のために頑張ってほしい。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。生まれも育ちも北海道ながら、ホークスファン歴約40年。私より2歳年下だが、なぜか現役時代から「小久保兄やん」と勝手に呼んで応援していました。これからも小久保兄やんを応援します!