第1回 高校生野手ベスト10
〜ドラフト候補の注目ポイントはここだ
来る10月25日に開催される今年のプロ野球ドラフト会議。このコーナーでは、今週から会議の直前まで、全4回に分けて注目のドラフト候補たちを紹介します。今回は、高校生野手をピックアップし、独断と偏見まじりにランキング形式でとりあげます。
今回ランキングに入れた顔ぶれをみると、昨年話題となった高橋周平（東海大甲府→中日）のようなずば抜けたレベルの選手は見当たりません。でも、磨けば中島裕之（西武）か高橋由伸（巨人）レベルまでいけるかも! と大いに期待を抱かせる、高い潜在能力を秘めた選手がそれなりにいます。どの球団が誰を指名するのか、そしてどんな選手に育っていくのか、今からたっぷり予習しておきましょう。
さらに詳しい情報が知りたい方は現在書店で発売中の『野球太郎No.001 2012ドラフト直前大特集号』をお読みください。総勢370名ものドラフト候補と有望選手が掲載されております。
それではランキングの発表です。
【第1位】
北條 史也（Fumiya Hojo）
（光星学院/遊撃手/右投右打/178cm73kg）
■どんな選手?/今夏甲子園で8安打中4ホームランは圧巻! バットをしならせ、ヘッドの運動量を発揮して打球を飛ばすのが特徴。真ん中外寄り低めに長打のツボを持っている。反面、バットの先でボールを乗せるクセが少し心配だ。下半身の始動で振り出すことでインサイドアウトの軌道獲得を目指せば解消できそう。
■ここを買いたい/この夏、打撃以上に努力と成長を感じたのは安定感抜群のフィールディングだ。送球する相手の顔より高く行かない安定したスローイングは特筆ものだ。
【第2位】
武田 健吾（Kengo Takeda）
（自由ケ丘/中堅手/右投右打/183cm73kg）
どんな選手?/誰もが認める超高校級の強肩と俊足。素晴らしい身体能力に注目が集まるが、それ以上に注目したいのは「上手さ」を実感させてくれる外野守備だ。間違いなく今年の高校No.1だろう。ライナーで外野を突破するスタイルのバッティングは、大胆なトップをとれるようになれば、さらに「怖い打者」になることだろう。将来に期待したい。
■ここを買いたい/やはり守備に注目。必ず後方から落下点に入り、右中間の飛球は必ず体を切り返して送球姿勢で捕球。守りの余裕がすばらしい。
【第3位】
田村 龍弘（Tatsuhiro Tamura）
（光星学院/三塁手/右投右打/173cm78kg）
■どんな選手?/打撃技術なら高校生No.1のバットマンかもしれない。どう打てばヒットになるか、そのバリエーションを豊富に持つ技術に注目。捕手としてのインサイドワークも素晴らしい。配球を思案できる野球の虫だ。さらに三塁手としても、捕球から送球の動きは出色の流動性を持つ。
■ここを買いたい/金属バットなら腕だけで自在にヒットが打てるのだが、明確なトップを作り、ふところ深くグリップを置いて、全力で振り抜く姿勢を忘れていない。これは将来につながる。
【第4位】
高橋 大樹（Hiroki Takahashi）
（龍谷大平安/右翼手/右投右打/180cm75kg）
■どんな選手?/間違いなく全国有数の長打力もつ選手。肩、ヒジの手術を経たものの、柔軟なリストをフル活用したバットヘッドの運動量とスイングスピードは圧倒的だ。行き足鋭い走塁とともにすでにプロ級と言っていいだろう。
■ここを買いたい/今年の高校生でこれほど大胆なトップがとれる打者は北條史也（光星学院）と、この高橋大樹だけだろう。ただし、左足の着地は早めにした方がよい。これができればさらに打てるようになるはず。今夏甲子園で見せた痛烈な右打ちは、プロへのアピールと見た。
【第5位】
森本 龍弥（Tatsuya Morimoto）
（高岡第一/遊撃手/右投右打/185cm80kg）
■どんな選手？／中島裕之（西武）の後継者として期待できるほどの素質。高校生離れした体躯は伊丹北高当時の中島を上回っていて、50m6秒0の脚力と三遊間最深部からでも刺せる強肩を持つ。右打ち・強打の大型内野手としては、吉村昂祐（天理）と双璧の存在だろう。
■ここを買いたい/兵庫の親元を離れて、雪国で3年鍛えた心身の強さに期待。打撃では、左方向へ140m級の大アーチに加え、今季からは右方向へも振り抜いて距離を出す技術もある。
【第6位】
石井 一成（Kazunari Ishii）
（作新学院/遊撃手/右投左打/180cm73kg）
■どんな選手?/鳥谷敬（阪神）の高校（聖望学園）当時に匹敵する高い完成度の走・攻・守の技術を持つ。大学なら間違いなく即戦力の実力。線の細さを感じさせたユニホーム姿にも、すでに筋肉量が備わり、プレーの力感アップした。
【第7位】
竹田 徹司（Tetsushi Takeda）
（広島商/遊撃手/右投右打/180cm82kg）
■どんな選手?/観客が呆然とする140メートル級の飛距離と、投手、捕手もこなしてきたセンスと強肩だけではなく、試合の流れや展開を見抜ける実戦力にも注目したい。
【第8位】
真砂 勇介（Yusuke Masago）
（西城陽/中堅手/右投右打/184cm78kg）
■ここを買いたい/50m6秒0の俊足を武器に、相手守備陣のミスを誘発するほど。遠投110mの強肩は、スローイングフォームも合理的で故障の心配はない。今年の高校生外野手でも全国トップ3に入るレベル。
【第9位】
佐野洋樹（Hiroki Sano）
（一関学院/捕手/右投右打/180cm78kg）
■どんな選手?/城島健司（阪神）ばりのバットヘッドの運動量。抜群の豪快なスイングが魅力だ。二塁送球で猛肩をアピールする顕示欲も城島ばり。
【第10位】
森山 恵佑（Keisuke Moriyama）
（星稜/一塁手/左投左打/186cm80kg）
■ここを買いたい/左腕のスライダーなど、普通なら体が開きやすい球種に対して、ヘッドを走らせて右中間最深部に放り込む技術とパワーは、高校生左打者ではNo.1級だ。
以上、10位まで「高校生野手ベスト10」でした。来週は、「高校生投手ベスト10」です。お楽しみに。さらに詳しい情報は、冒頭にもご紹介させていただいた『野球太郎No.001 2012ドラフト直前大特集号』で。
それではまた来週。
監修＝安倍昌彦…有望アマチュア投手の球を実際に受けてレポートする球界唯一の手法で一躍注目を浴びた。現在は『野球太郎』などで執筆する傍ら、テレビやラジオのゲストとしても活躍中。（この記事は『野球太郎No.001』の記事を再構成したものです）
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