【2017夏の高校野球】《埼玉観戦ガイド》有望選手と大会展望＆地区勢力ピラミッド
布川と清水のさらなる成長を要チェック
徳栄の「野村」も只者じゃない打撃力だ
投手編 ～将来性高い布川と清水～
今春、一気に頭角を現したのが187センチの長身から最速146キロを投げ込む布川雄大（武南）だ。芝中時代は県大会にも出場していない無名の存在だったが、一冬を越えて大きく成長。投球の大半がストレートで、変化球は課題だが、伸びしろは大きい。
3年連続で秋春連覇を果たした浦和学院は、関東大会でも好投した左腕の佐野涼弥と右腕の近野佑樹、渡辺勇太郎の2年生トリオに3年生右腕の清水洋炳と駒が揃う。佐野は高いリリースポイントから投げ下ろすフォームのため、最速141キロという数字以上の球質のよさを感じる。タテのスライダーの切れ味も抜群だ。秋春準優勝の花咲徳栄は、昨夏の甲子園でも登板し、安定感のあるエース綱脇慧と最速149キロのストレートを持つ清水達也の両3年生右腕で3年連続甲子園出場を狙う。
スリランカ人の父を持つ左腕・メンディス海（市川越）は昨夏、浦和学院から金星を奪った立役者として話題に。コントロールがよく、両サイドへ巧みに散らす投球で今春も4強に導くなど実力は確か。昨夏準優勝、今春の1回戦では浦和学院を9回2死まで追い詰めた聖望学園は投打ともに将来性のある背番号「6」の2年生・坂本颯太やエースの3年生・西澤海の両右腕の評価が高い。
その他には、秋春連続の8強に導いた投打の柱である右腕・高野将生（ふじみ野）、進学校の好左腕・桐敷拓馬（本庄東）の力も侮れない。2年生では昨夏のマウンドも経験している右腕・米倉貫太（埼玉栄）、身長が180センチ後半で侍ジャパンU-15代表も経験した左腕・渡部太陽（春日部共栄）が楽しみな存在だ。
野手編 ～花咲徳栄を筆頭に多士済々～
強打者が揃うのは花咲徳栄。2年生4番の野村佑希は芯に当たった時の打球は強烈で、将来が嘱望される右のスラッガー。3番を打つ西川愛也は昨年4番を張った左の中距離打者。冬には大胸筋の腱断裂の手術を行ったが、春には元気な姿を見せた。浦和学院は昨夏から経験豊富な山本晃大、家盛陽介、杉山翔らに加え、2年生で4番を務める蛭間拓哉のパワフルな打撃も魅力だ。
秋春連続4強の春日部共栄は山本大貴が打線の中心。秋はエースを務めたが、右ヒジに不安があり、今夏は野手に専念することになりそうだ。全教科の評定がオール10（満点）と学業も優秀な選手でもある。文武両道でいえば東大志望の飯村俊祐（開智）も好遊撃手。攻守で体に力とキレがあり、東大
のみならず、他の東京六大学所属校でもレギュラーを掴める素材だ。また同校の捕手・福島一棋は投手・捕手両方こなす強肩を持つ。
大学などで活躍が期待できる素材でいえば、緒方康貴（大宮東）と宮崎大輔（川越工）の両三塁手に注目。緒方は現代の日本球界で不足気味な右のスラッガー。宮崎は小柄ながら馬力があり、打ってはしっかりボールを呼び込んで長打性の打球を放つ。投手としても最速143キロのストレートを記録する強肩が光る。
今春8強に躍進した叡明はガーナとのハーフで身体能力の高い外野手の三上ケビン、強肩の大型捕手の室賀優斗に注目だ。
大会展望 ～浦学・徳栄の2強中心に展開か～
秋春制覇した浦和学院が投打ともに充実で本命。ただ、秋は3年連続、春は5年連続で県優勝しながら、夏は過去5年で1度しか優勝できていないだけに不安は残る。対抗は秋春ともに決勝で浦和学院に敗れた花咲徳栄。綱脇と清水の右腕二枚看板や昨夏の甲子園も経験した西川や千丸剛に、2年生スラッガー・野村も加えた強力打線で立ち向かう。この2強を地力のある春日部共栄や聖望学園、新進気鋭の叡明、公立校で打線が力強い大宮東や川越工が追う。
野球太郎 No.23
「2017夏の高校野球＆ドラフト特集号」
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