小山は、田中将大らと同じ1988年生まれの黄金世代。槇原寛己(元巨人)、赤星憲広(元阪神)を生んだ愛知の大府高出身。甲子園には出場できず、天理大を経て、2010年のドラフト4位で巨人に入団した。
巨人での6年間は55試合(先発33、リリーフ22)に登板し、トータル成績は8勝8敗1セーブで防御率は2.87。2014年は16試合に先発し、6勝2敗の成績を残した。
楽天に移籍した今季は中継ぎとして5試合に登板。最初の3試合こそ失点したものの、5月28日の西武戦、5月30日の巨人戦はいずれも1イニングを無失点。とくに古巣・巨人相手では、ランナーを出しながらも、立岡宗一郎、マギー、阿部慎之助を三振に切って取り、「恩返し」を果たしている。
一方の柿澤は、鹿児島の強豪・神村学園高で、投打の中心選手として甲子園に3度出場したキャリアを持つ。2012年のドラフト6位で楽天に入団した。
ドラフトでは投手として指名されたが、プロ入り後は野手に専念。なかなか結果が出ず2014年オフには育成契約となるも、2016年はイースタン・リーグで打率.286と頭角を現し、特に7月は打率.477と大暴れで「月間MVP」にも選出。ミズノからの5万円分の商品券をゲットするとともに、7月末に支配下選手への復帰を果たしている。
ここまでレギュラーシーズンでの1軍出場はまだないが、巨人に移籍後、3月15日にヤフオクドームで行われたソフトバンクとのオープン戦では、攝津正からライトスタンドにホームランを放っている。高卒5年目ということで、まだまだ伸びしろがありそうだ。
投手と野手の違いはあるが、昨季までの実績、そして移籍後の成績を比較すれば、小山にアドバンテージあり。言うまでもなく、このトレードで「お得」だったのは楽天ということになる。
小山は、楽天移籍を機に、開幕前に一般女性との結婚も発表しており、新天地にかける思いは強いはず。
ただ、巨人の苦しいチーム事情を考慮すれば柿澤にもチャンスはある。今季の巨人の最大の泣きどころは二塁。
最も試合に出ていた中井大介が、打撃不振で6月2日に2軍落ちし、クルーズ、吉川尚輝、脇谷亮太、辻東倫、山本泰寛らが代わる代わるスタメンで起用されているが、いまだ確固たる地位を築いた選手がいないのが現状だ。
また、外野も陽岱鋼が復帰したものの、まだまだ磐石とはいえない。
柿澤は内外野を守れるだけに、ファームでの打率.219をもうワンランク上げれば、初の1軍昇格があるかもしれない。このトレードの「お得判定」を揺るがすような柿澤の飛躍に期待したい。
(成績は6月18日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)