開幕から混戦模様のプロ野球。今シーズンからはベンチ入りメンバーこそ25人と変わらないが、1軍メンバーは29名となり1枠増となった。すなわち、開幕1軍枠も1つ増えたことになる。
その恩恵を受けたかどうかは定かではないが、昨年のドラフトで指名されたルーキーたちからは10人が開幕1軍入りを果たした。その10人たちはここまでどのような結果を残しているのだろうか。本稿執筆時点の開幕から1週間ほどのプレーぶりを見てみる。
開幕1軍をつかんだ10人の内訳は野手が7人、投手が3人。野手の方が多い。ただしこれには、一般的に2カード目以降の先発投手は開幕1軍として登録されないという事情もある。
まずは野手から見ていこう。昨シーズンのセ・リーグ覇者である広島はドラフト1位の小園海斗(報徳学園高)が開幕1軍メンバー入り。チームの高卒新人としては2000年の苫米地鉄人以来、19年ぶりの快挙だった。しかし、出場機会のないまま、ファームへと降格してしまう。チーム事情もあり、しばらくは2軍で実戦を積むことになりそうだ。ちなみに、そのファームデビュー戦では3打数1安打と好スタート。ファームで成長を促し、満を持しての昇格に期待がかかる。
一方、スタメンにまで名を連ねたのが阪神のドラフト1位・近本光司(大阪ガス)と同3位の木浪聖也(Honda)である。しかも、木浪が1番、近本が2番で起用された。このことからも矢野燿大監督の大きな期待がうかがい知れる。
しかし、木浪は5試合でノーヒット。同じ遊撃のポジションを争う鳥谷敬を代打に送られるなど苦しんでいる。オープン戦での好調がまるでウソのような不振ぶり。ここからの巻き返しを図りたい。一方、近本は打撃だけでなく、守備でも補殺を決めるなど、ここまでは順調。確固たるレギュラーを目指して戦い抜きたい。
パ・リーグでは4人の野手が開幕1軍をつかんだ。オリックス2位の頓宮裕真(亜細亜大)は吉田正尚の後ろを打つ5番に抜擢され、開幕戦ではマルチ安打。チームの勝利には結びついていないものの、快音を響かせた。
ロッテのドラフト1位・藤原恭大(大阪桐蔭高)は高卒では唯一の開幕スタメン出場。初打席からフルスイングでスタジアムを沸かせている。だが、4打席目で内野安打を放って以降は沈黙。リードオフマンとしての役割を果たすことができていない。レギュラーを勝ち取るためには、もう少し突き抜けた結果がほしい。
楽天のドラフト1位・辰己涼介(立命館大)は開幕スタメンこそならなかった。しかし、同じ外野でライバルとなるオコエ瑠偉に遅れを取っておらず、まだまだ争いは続きそう。
西武のドラフト7位・佐藤龍世(富士大)は代走、守備固めとして3試合に出場。打席機会はないがサブ的な役割で出番は増えそうだ。
■開幕1軍ルーキー野手成績
小園海斗(広島)
※出場なし
近本光司(阪神)
5試合:打率.250(20打数5安打)/0本塁打/2打点
木浪聖也(阪神)
5試合:打率.000(13打数0安打)/0本塁打/0打点
佐藤龍世(西武)
3試合:打撃機会なし
頓宮裕真(オリックス)
5試合:打率.250(20打数5安打)/0本塁打/2打点
藤原恭大(ロッテ)
4試合:打率.071(14打数1安打)/0本塁打/0打点
辰己涼介(楽天)
3試合:打率.333(6打数2安打)/0本塁打/1打点
(※成績は2019年4月3日現在)
一方の投手ではソフトバンクの中継ぎ2人が戦力となっている。ドラフト1位の甲斐野央(東洋大)は開幕戦から同点の延長で登板。2回を5奪三振と圧巻の投球で初勝利をマークしている。ここまでの3試合で3回2/3を投げ、驚きの9奪三振。150キロを超えるストレートとフォーク、スライダーでここまでは圧倒している。いきなり勝ちパターンに割って入りそうな勢いを見せた。
また、7位の奥村政稔(三菱日立パワーシステムズ)も3試合で3ホールド。甲斐野に負けず劣らず、重要な場面を任されている。岩嵜翔とサファテが離脱中の救援陣に頼もしい新人たちが加入した。
セ・リーグでは広島のドラフト2位・島内颯太郎(九州共立大)は中継ぎとして2試合に登板するも、連続失点。与四球が5つあり、まだまだ課題は多い。
このように野手、投手ともに開幕1軍をつかんだ選手で明暗が分かれている。とはいえ、シーズンはまだ始まったばかり。1年を通して結果を残すことが求められる。開幕1軍からシーズン完走、そして新人王を目指すルーキーたちの力が、きっとチームの助けとなるはずだ。
■開幕1軍ルーキー投手成績
島内颯太郎(広島)
2試合:0勝0敗/1.2回/奪三振1/与四球5/防御率10.80
甲斐野央(ソフトバンク)
3試合:1勝0敗/2ホールド/3.2回/奪三振9/与四球2/防御率0.00
奥村政稔(ソフトバンク)
3試合:0勝0敗/3ホールド/2.2回/奪三振4/与四球1/防御率3.38
(※成績は2019年4月3日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)