2013年ドラフト2位で常総学院高から楽天入り。高校通算37本塁打を誇る右投右打ちの21歳だ。今江敏晃、栗原健太の加入でチームに増えてきたゴリラ顔の元祖? でもある。高校時代は2年夏甲子園の桐光学園高戦で松井裕樹から2安打を放つと、3年夏のU-18ワールドカップでは日本代表4番打者として木製バットの対応力の高さを見せつける打率.314で準優勝に貢献している。
プロ入り後はその打力を買われ、捕手から一、三塁を守る内野手に転向した。1年目はファームで7本塁打。その年の秋に1軍初出場してプロ初安打。札幌ドームの日本ハム戦ではフェンスぎりぎりを襲う本塁打性の飛球を放つなど、そのパンチ力の片鱗を見せた。
3年目の今年は2軍で52試合に出場。打率.286、7本塁打、34打点。大竹寛(巨人)、内海哲也(巨人)、久保康友(DeNA)、岸孝之(西武)といった1軍経験豊富な投手からヒットを放つなど結果を残して昇格すると、6月9日ヤクルト戦では7番・サードで即スタメン。1点を追う5回にはその後の同点につなげる好機拡大の二塁打、6回には3対2で勝利した3点目を叩き出すプロ初適時打。2安打1得点1打点の活躍でお立ち台にも登った。
以降の活躍も目覚ましい。翌10日広島戦では黒田博樹からヒット。追い込まれていたが、内角を攻めてきたツーシームを上手く腕を畳み、おっつけて右方向に打ち返した。11日にもヒット1本を放つと、チームが3点差をひっくり返し延長戦サヨナラ勝利で5位浮上を決めた12日には、中盤に同点に追いつく左翼線二塁打を放っている。
ひたむきなプレーが印象的だが、課題もある。空振りが多いのだ。ここまで54球と対峙、35球でバットを振ったが、空振りはその約半分16球を占めた。この割合は40スイングで空振り19を計上した1年目とほぼ同じである。これも経験を重ねれば改善するはずだ。
入団以来の背番号8はFAで入団した今江に譲り渡したが、その今江からホットコーナーの定位置を奪うことができるか。球団創設以来ファンが長らく渇望してきた生え抜きの和製大砲の誕生なるか。今後もその活躍から目が離せない。
文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。