■スコア
侍ジャパン 0 対 2 ソフトバンク
先発の武田翔太(ソフトバンク)は立ち上がりに苦しみながらも、3回無失点。大谷翔平(日本ハム)に代わる追加召集ながら、さっそく結果を残した。
打線は菊池涼介(広島)が3安打、また筒香嘉智(DeNA)も1安打を放つも、つながりを欠き無得点に終わった。
■スコア
侍ジャパン 5 対 8 台湾プロ選抜
センター中心にコンパクトに振ってくる台湾打線は17安打のうち単打が12本。そんなジャブの連打からの4割打者・王柏融の一発が飛び出すなど、先発の則本昂大(楽天)、続く牧田和久(西武)、増井浩俊(日本ハム)ら侍ジャパン投手陣を圧倒。
ただ、後半に登場した宮西尚生(日本ハム)、松井祐樹(楽天)はともに1イニングを無安打、無失点と好投を見せた。
打線は、菊池涼介の連日の3安打(二塁打2本、三塁打1本)などで5点を奪い、最終的には3点差と何とか格好はつけた。しかし、台湾の2番手・セゴビアに中盤の4イニングを1安打、7三振に抑えられ、重苦しいゲーム展開での2連敗となった。
■スコア
台湾プロ選抜 1 対 9 侍ジャパン
投打に躍動した侍ジャパンが、3戦目にして初勝利を飾った。先発の菅野智之(巨人)が4回を4安打無失点に抑えると、続く石川歩(ロッテ)も3イニングを1失点で切り抜け、藤浪晋太郎(阪神)、千賀滉大(ソフトバンク)が8、9回を締めた。
一方の打撃陣も、1番・DHで出場した山田に待望の一発(先頭打者ホームラン)。ダブルスチールも決めるなど足を絡めた攻撃も生まれ、大量得点を奪った。
■スコア
阪神 4 対 2 侍ジャパン
阪神の先発のメッセンジャー、2番手の岩貞祐太の前に打線が沈黙。7回に中田翔(日本ハム)のレフトへのホームランが出たのが打線の唯一の救い。
投手陣は、牧田和久が2イニングを6人でピシャリと抑え、平野佳寿(オリックス)がフォークで3者連続空振り三振と仕上がってきたが、2回には武田翔太が2年目の板山祐太郎に、8回には秋吉亮(ヤクルト)がルーキーの糸原健斗に長打を浴びて失点するなど、懸念も残った。
■スコア
オリックス 3 対 5 侍ジャパン
2回に鈴木誠也(広島)が同点3ラン。9回表に代打・秋山翔吾(西武)2点タイムリー三塁打。この殊勲打で勝利を収めたが、3、4、5、6、8回が三者凡退と、全体としては淡白な攻撃。
初回も、先頭の山田哲人がヒットで出塁しながら、2番の菊池がバント失敗(ファウルフライ)。その後の打者も凡退するなど、攻めきれなかった。
先発の藤波晋太郎は、自身の拙守もあって初回に2失点したが、2回は3人で片づけた。3回以降は7投手を試す小刻みな継投。5回以降は得点を許さず、決勝点を奪った9回裏は、秋吉が三者凡退に切って取り、本番へ弾みをつけた。
昨年セ・リーグ4位で、しかも若手中心の阪神に敗れ、パ・リーグ最下位のオリックスに辛勝。トータルでは不安がぬぐいきれない前哨戦となったが、あくまで練習試合。大勝が続くよりも、アラが見えたほうが修正もでき、また気も引き締まる。時期的にも前向きに考えたほうがいいだろう。
強化試合における投打を総括してみよう。
投手陣では、好不調を繰り返す投手が多かったなか、先発候補では菅野の安定感が光った。また、開幕ゲームのキューバ戦に先発予定と報じられている石川も悪くなかった。やはり、本番でもこのふたりが中心となってきそうだ。
あとは、オリックス戦の登板を体調不良で回避した則本、調子の波が大きかった武田や藤浪らが、どこまで能力を発揮できるか。
リリーフでは、宮西のボールがシーズン同様にキレていた。また、牧田、秋吉、千賀らも、登板を重ねるごとに仕上がってきている。平野、松井の抑え候補も結果を出しており、ブルペンに関しては、おおむね態勢が整ったと見てよさそう。
また「1次ラウンド65球、2次ラウンド80球、準決勝&決勝95球」という球数制限に加えて、「50球以上投げたら中4日以上、30球以上投げたときと連投したときは中1日以上あける」という登板間隔のルールを踏まえての継投策もカギとなる。
小久保裕紀監督と奈良原浩ヘッドコーチの「青山学院大出身・40代コンビ」に78歳の権藤博投手コーチの経験をミックスさせた首脳陣の腕の見せ所だ。
打線は、前哨戦5試合のうち、前半は菊池、筒香が目立っていたが、最後の2試合はノーヒット。それをカバーするように後半に入って山田、坂本、中田といった主力にも当たりが出始めた。
秋山、鈴木、田中、平田ら、脇を固める選手たちも覇気のある動きを見せており、打線全体として調子は上向いているのは確か。あとは、打てないときに機動力や小技などで補っていく形を作りたい。
また、過去の出場選手が異口同音に語っているように、WBC本番でのプレッシャーは異質。松田や菊池、鈴木ら元気者たちを中心に、いかにベンチを盛り上げていけるかもポイントとなりそうだ。
3月7日のキューバ戦を皮切りに、多くても8試合しかない短期決戦。2月27日に福岡のホテルで開催された出陣式では、小久保裕紀監督が「必ず世界一を獲ってファンの皆様にご報告させていただきます!」と宣言した。
無念のチーム離脱となった大谷翔平、嶋基宏らの思いも含めて日本の野球力をすべて出し尽くしたい。そして、3月22日午前10時プレーボール(日本時間)の決勝まで勝ち残っていることを信じて、代表選手たちの一挙手一投足に注目したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)