片岡治大は西武時代(当時の登録名は片岡易之)の2007年から2010年にかけて4年連続で盗塁王を獲得。巨人時代も含めると、歴代25位の通算320盗塁を記録。プロ12年での出場試合数は1208なので、3.78試合に1つの盗塁を決めている計算となる。これは300盗塁以上を記録している29選手のなかでは8番目の盗塁頻度。片岡の盗塁能力はかなり高いことがわかる。
ただ、西武時代、そして巨人に移籍後も故障に泣かされた。片岡が万全なら、巨人が二塁手不足に悩まされることもなかったはずだ。引退後は、2軍内野守備走塁コーチとしてチームに残る。
2011年の盗塁王・藤村大介も現役引退を決めた。2007年の高校生ドラフト1巡目で入団と素質を期待されていたが、1軍デビューは4年目の2011年5月11日だった。
2日後の13日には「8番・二塁」でスタメン起用され、初盗塁を決めた。そこから勢いづいた藤村は、28盗塁でタイトル奪取。この年のセ・リーグは全体的に盗塁が少なめだったが、2位の赤松真人(広島)と長野久義(巨人)は19盗塁だったので、これは大差をつけてのタイトルと言っていいだろう。
しかし、その後は徐々に成績が下降し、2017年は1軍での出番はなかった。引退後はジャイアンツアカデミーのコーチとして未来のG戦士を育てる側に回る。
タイトルには届かなかったが、10盗塁以上を4回記録している松本哲也も2017年限りで現役を引退した。育成選手から這い上がり、ガッツあふれるプレーでファンも多かった選手だが、藤村同様に、2017年は一度も1軍から声がかからず。決断のときがきてしまった。
2018年からは3軍外野総合コーチとして若手の育成に尽力することになる。ぜひ、自身のようなスピード感あふれる選手を育ててほしい。
2016年のシーズンオフには、走塁のスペシャリストだった鈴木尚広が引退するなど、巨人から毎年のように足のある選手がチームを離れている。
セ・リーグを連覇した広島の盗塁数は2017年が112盗塁、2016年が118盗塁でいずれもリーグトップ。対する巨人は、2017年が56盗塁、2016年が62盗塁でいずれもリーグ4位。広島と巨人では目指すスタイルが違うのかもしれないが、機動力があって損はないだろう。
2017年は10盗塁を記録した重信慎之介、2016年のドラフト1位で、ファームでは11盗塁の吉川尚輝、2017年のドラフト7位ルーキー・村上海斗(奈良学園大)と、走れる好素材はいる。新たに就任する片岡コーチや松本コーチの指導力とともに、彼らの台頭に期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)