昨オフ、今江敏晃がFAで楽天に、ルイス・クルーズが巨人に移籍したロッテ。頼みの綱と考えられていたヤマイコ・ナバーロが実弾所持騒ぎを起こすなど、どんなシーズンになるか想像がつかなかった。しかし、4月10日現在、8勝5敗1分と好調だ。
その原動力は中村奨吾と細谷圭。特に細谷圭は、目下の首位打者という活躍を見せている。昨年は16試合しか出場していなかっただけに、まさにダークホースと言った印象だ。
中村は2年目のシーズンということで、プロの水にも慣れてきたのだろう。ナバーロ帰還となると内野手のポジション争いが再び激化するはずだが、このまま守り抜いてほしいものである。
対照的なのはソフトバンクだ。マエケンこと前田健太(ドジャース)同様、メジャーリーグに挑戦した不動の4番・李大浩(マリナーズ)を失ってのシーズンとなった。代わりに内川聖一が一塁手へコンバートされたが……。 ここまでの戦いぶりを振り返ってみたい。
13試合を終えて、5勝6敗2分の4位。ただ、ぶっちぎりの優勝を決めた昨年でも、13試合終了時点では6勝6敗1分だったので、勝ち負けとしてはそれほど悲観する必要はないと思える。
スタッツ的にも本塁打は昨季の同時期の6本に対して、今季は4月10日現在で7本。ここまでは、大砲・李大浩が抜けて大きな穴ができた…とまではいえない。
「主力退団」などと字面で見ると、どうしてもマイナス面ばかりを考えてしまう。
しかしポジションが空けば、自分にもチャンスありと考えるのがプロ野球選手。ここまで、好影響を感じさせるのがロッテだ。
もしも…今江とクルーズが残留、ナバーロも開幕からフル出場していたら、細谷は今年も浦和に幽閉されていた可能性が高いし、中村もここまで出場機会を与えられることはなかっただろう。
ここからは予想に過ぎないが、細谷にしても、中村にしても、レギュラー内野手2人が抜け、新外国人選手にアクシデントがあったことは、自分にとってもチャンスと捉えているはず。
特に細谷は、2軍でどんなに好成績を残そうが、1軍の試合に出場しないことには、意味がないことは重々承知だろう。
このまま細谷は最高のシーズンを過ごすことができるのか。ナバーロが復帰後、中村とともにこれまでの活躍を持続することができるのか。シーズンは始まったばかりだ。(記録は4月10日現在)
文=森田真悟(もりた・しんご)