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第六回TOHKENのゲストは現役大学監督! その監督が率いるチームに直撃取材!

 創部7年目の2012年秋に、明治神宮大会を制し日本一になると、2013年シーズンは春・全国8強、秋・全国4強と、一気に全国区のチームへ駆け上がった桐蔭横浜大。

 だが、2014春は神奈川大学リーグの開幕カードで神奈川大に連敗。その後、8連勝と必死に追いすがるも、神奈川大が全校から勝ち点を挙げる完全優勝で、桐蔭横浜大は4連覇を逃した。

 巻き返しを図る桐蔭横浜大の齊藤博久監督に、王座奪還の決意を聞いた。


2連敗からの8連勝の意味

「本当に大きかったと思います。選手への手紙にも“このチームの更なる発展に繋がる”と、書きました」

 齊藤監督は毎シーズン後、選手に向けた手紙を書いている。2013年秋はリーグ戦中盤で横浜商科大に連敗し、自力優勝が消滅。だが、そこから1度も敗れること無く、見事な逆転でリーグ戦3連覇を決めた。その際には「『自力』ではなかったけれど、『地力』のついた優勝だ」と手紙にしたため、部員たちを称えた。

 2014年春は逆転優勝とはいかなかったものの、連敗スタートにも根幹は揺るがず、その後のリーグ戦を無敗で戦い抜いた。こうした「ブレない強さ」はどこから生まれているのだろうか。

 まず、第一に挙げられるのは、その「チーム力」だ。

 桐蔭横浜大では投手、捕手、内野手、外野手、打撃、走塁、バントの7部門で、部員たちそれぞれに「チーフ」の役職を与え、責任を与えている。そして、そこから出た意見を齊藤監督がまとめるという形を作り、選手が主体性を持つ形で強化を進める。

 部員数は150人を超える大所帯ゆえ、1軍・2軍の割り振りは当然あるが、2軍の選手の中からも副将を選出、メニューも関大輔コーチが作成するなど、首脳陣が全部員に目を行き届かせている。

 こうしたことに対する成果は、公式戦時の桐蔭横浜大スタンドからもわかる。その声量の大きい応援は、「全部員で戦う」という意思表示がひしひしと伝わってくる。


▲練習後、部員全員で行われるミーティング[写真・高木遊※2013年12月18日撮影]

投手陣の成長

 また「投手陣の成長」も顕著だ。

 昨年の投手陣を支えた小野和博(現富士重工業)と横山弘樹(現NTT東日本)の二枚看板、そして創部初の日本一など、チームの躍進には欠かせなかった“小さな大捕手”氏家(うじえ)彩斗らバッテリーが卒業し、今年はイチからのスタートだった。

 さらには、リーグ戦2週を終えたところで、エースの西村純季(4年・遠軽高)が故障により戦線離脱。しかし、そんな窮地に昨年までほとんど登板機会のなかった高橋拓巳(2年・前橋育英高)、深川昌利(3年・湘南学院高)が台頭。昨年から好救援を見せている上田拓磨(3年・浦和学院高)、故障からの再起を図る西村に、「楽しみ」と齊藤監督が語る1年生投手も秋のシーズンには加わる。さらなる投手陣の成長で、リーグ王座奪還だけでなく、再びの日本一獲得も狙っている。

 一方で、桐蔭横浜大を下した神奈川大は、全日本大学野球選手権で慶應義塾大などを撃破し、見事に準優勝という結果を残した。

 主将の喜納淳弥(4年・成立学園高)は「自分たちにもできるんだと再認識しましたし、夏場の練習を通し、日本一になるという手応えは春よりもあります」と力強く語り、そしてこう続けた。

「戦力は相手より劣っていたとしても、チームで大切にしているチーム力、意志の疎通や連係で、挑戦者としてチーム全員で向かって行きたい」

 再び「挑戦者」の立ち位置となった桐蔭横浜大の逆襲が今秋見られることを期待したい。

▲裏方に回った部員たちの献身がチームの伝統になってきていると言い、「だからこそ私がそこのケアをサボってしまってはいけないと心がけています」と語る齊藤監督[写真・高木遊]

取材日:2014年8月18日


☆桐蔭横浜大・齊藤博久監督(日本大OB)をゲストに迎えるトークイベント『第六回TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会』を8月27日(水)に開催!

詳細はこちら⇒https://www.facebook.com/events/356508887836545/ (『野球太郎』のFacebookページより)

 日本でもっともハイレベルな選手たちが全国から集まると言われる東都大学リーグについて語り合いましょう! もちろん、はじめての方にもわかりやすくイベントは行っていきますので、お気軽に参加してください。大学野球の監督とお話できる機会は滅多にないはず!

前回のTOHKENの模様はこちら


■プロフィール
文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の『熱闘通信』随時更新中(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)twitter(@you_the_ballad)

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