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菅野智之はワン。黒田博樹はツー。藤川球児はフォー。「○○シーム」の違いって何?

菅野智之はワン。黒田博樹はツー。藤川球児はフォー。「○○シーム」の違いって何?

 かつて、変化球といえばカーブ、シュート、フォークぐらいだった昭和の野球。スクリュー、ナックルボール、パームボールなど「魔球」めいた変化球もあったが、そこから、スライダー、カットボール、シンカーなど投手が操る球種は大幅に増えている。

 しかも、それぞれの球種が細分化し発展していっているのが現状だ。似たような軌道なのに呼び名が違う、同じ球種でも変化の仕方に差があるなど、よほどのマニアでなければフォローしきれていないのではないか。

 なかでも、ややこしいのが「○○シーム」という球種。そのあたりをざっくりと解説してみたい。ちなみに、「シーム」というのはボールの縫い目のこと。フォーシームかツーシームかは、投げたボールが1回転する間に縫い目が何回通過するかによって分類される(ワンシームはまた別なので後述する)。

素直な軌道のストレート・フォーシーム


 フォーシームはいわゆるストレート。人差し指と中指を、ボールの縫い目に垂直に掛け、真っすぐに腕を振って投げる。素直な軌道でキャッチャーミットまで届くボールだ。

 ヒジやスナップの使い方でも違ってくるが、いわゆるスピンの効いたボールは、打者の手元で浮き上がるように感じるという。

 全盛期の藤川球児(阪神)が投じた「火の玉ストレート」はこのボールの典型例だ。

1回転で縫い目が2回通過するツーシーム


 ボールの縫い目に沿うように人差し指と中指を置いて投げるツーシーム。フォーシームよりも空気抵抗が少ないため、打者の手元で微妙に変化する。WBCで話題になった「手元で動くボール」の多くはツーシームだ。

 ただ、各投手によって縫い目への指の掛け方、力の入れ具合などが微妙に違うため、変化のパターンは幅広い。

 例えば、黒田博樹(元広島)は、人差し指のみ縫い目に掛け、中指は縫い目と縫い目の間に置いて投げるツーシームを多用していた。軌道はシュートに近いものとなり、これを左打者の内角に投げると、ボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる「フロントドア」となる。

 また、山崎康晃(DeNA)が決め球とするツーシームは、指を開き気味にして握るため、フォークのような軌道で鋭く落ちる。


縫い目が1本になるワンシーム


 前述したように、フォーシームやツーシームは縫い目の通過数によって定義されているが、ワンシームは、打者から縫い目が1本に見えるような回転をするボールがそう呼ばれる。日本ハム時代のダルビッシュ有(レンジャーズ)が投げたことで一躍話題となった。

 これもツーシーム同様、投手によって握り方が異なり、ボールの軌道もさまざま(打者の手元で小さく変化する場合が多い)。菅野智之(巨人)は人差し指と中指の間に縫い目が通るように握り、親指をしっかり縫い目にかけて投げている。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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