お年玉をもらって喜ぶのは子どもたちだけじゃない。プロ野球の神様が、あの選手にこの能力をお年玉としてプレゼント。そんな新春の奇跡を妄想してみた。
■お年玉
本塁打量産の長打力
プロ2年目の2016年は141試合に出場して打率.294、得点圏打率.301。2017年は143試合で打率.262ながら得点圏打率は.342。遊撃の守備に粗さがあるものの、勝負強い打撃を見せてきた倉本寿彦(DeNA)。しかし、昨季は新戦力として加わった名手・大和に押し出され、出場数は85に減少。今季は中心選手として居続けられるかの瀬戸際のシーズンになりそうだ。
そこで倉本に授けてほしいお年玉は長打力。プロ4年間で6本塁打、高校、大学を合算しても13本塁打という数字を見るとホームランバッターのイメージはない。
しかし、2014年に発行された本誌『野球太郎No.012 2014ドラフト直前大特集号』に掲載された日本新薬時代のインタビューを読むと、岩橋良知監督(当時)はトリプルスリーも夢ではないと本塁打にも期待。また、日本新薬に臨時コーチとして指導を受けた門田博光氏(元南海ほか)からも大きな学びを得ている。プロ野球歴代3位のホームランバッターとして知られる門田氏は、実は高校時代までの本塁打はゼロ。しかしバットを振り続けた末に567本塁打を放った。倉本も当時のインタビューで「まだまだ成長できる」「向こうが上でもいつかは絶対抜ける」と先を見据えている。
現状、大和の守備を超えるのはたやすくない。ならば、長打力を磨いて巻き返してみるのも手ではないだろうか。プロ野球の神様、倉本選手に長打力を!
■お年玉
援護点
先日、驚きのFA人的補償で巨人ファンをザワつかせた内海哲也(西武)。もちろん本人も思うところは大きいはず。しかし、持ち前のコミュニケーション力で早くも西武の選手たちに溶け込むべく行動開始。明るいチームカラーだけに、西武でもリーダーシップを発揮して、周囲から頼られることだろう。
全盛期の力は衰えたが、昨季は5勝。もうひと頑張りできそうな気配を見せていた。左の軟投派が少ないパ・リーグへの移籍は吉と出る、と見る向きが多い。昨季の西武では阪神から移籍した左腕・榎田大樹が強力打線をバックに11勝と開花したのも、内海にとっては心強い傾向だ。
経験豊富でスタミナのある内海が援護点に恵まれながら、あれよあれよと勝ち星を積み上げる姿も夢ではない。浅村栄斗が抜けたとはいえ、まだまだ山賊打線は強力。もやもやした気持ちを抱えている巨人ファンのためにも、自分のためにも、もうひと花咲かせてほしい。野球の神様、内海選手に援護点を! そして、6年ぶりの2ケタ勝利を!
文=山本貴政(やまもと・たかまさ)