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四国地区の注目選手、出場校紹介

<四国地区・センバツ注目選手紹介>

和田 恋
高知高校 新3年/三塁手&投手/右投右打/178センチ78キロ



ここに注目ベスト3
1.「ボールを遠くに強く運ぶ能力」
2.「ゆったりとしたタイミングからのスイングスピード」
3.「実は四国屈指のスピードを持つ投手」

どんな選手?/入学わずか10日にして明徳義塾とのチャレンジマッチに先発起用されて以降、ここまで積み上げた高校通算本塁打は「31」。昨秋公式戦では全9試合で打点をあげ、神宮大会でも4打数4安打2打点。今大会屈指のスラッガーだ。打席での威圧感はさほどではないが、打球を遠くに飛ばすためのタイミング取りは秀逸。課題だったメンタル面も主将就任以後は、日々成長を続けている。
一冬を越えてここに注目!/本人も課題にあげていた1200グラムバットでも141キロを出せるスイングスピードを利した「打球速度」。そして下半身強化が効果をもたらしつつあるマウンドでの「球速」。四国2位・最速143キロからの上積みはなるか?
プロ選手で例えたら…吉川大幾(中日)

市川 豪
高知高校 新3年/一塁手/右投右打/179センチ80キロ



ここに注目ベスト3
1.「豪快なスイングからの飛距離」
2.「抜群の身体能力」
3.「芽生えた責任感」
どんな選手?
/昨年7月までは最速141キロをマークした豪腕投手だが、新チームからは打撃を買われ一塁手へコンバート。昨秋は抜群の身体能力を活かし快打連発。3番打者としてチームの四国大会優勝に貢献した。以前は甘さが目立った問題意識の捉え方も、まず自己を見つめる真摯な姿に変化。「神宮大会では緊張して力が入って」4打数1安打に終わった全国舞台で、次こそナチュラルパワーを出し切る。
一冬を越えてここに注目!/爆発的な飛距離。シートバッティングではホームから90メートル先のレフト後方、10メートル以上ある防球ネット越えを連発。現在はまだ高校通算本塁打2本だが、甘い球がくればアーチ量産も。
プロ選手で例えたら…バレンティン(ヤクルト)

河野 祐斗
鳴門高校 新3年/遊撃手/右投右打/170センチ72キロ



ここに注目ベスト3
1.「屈辱を超えんとする静かなる闘志」
2.「鋭く振りぬくバッティング」
3.「センスに加わった努力」
どんな選手?
/昨年センバツ1回戦・洲本戦では延長10回サヨナラ打。夏の1回戦・済々黌戦では「ドカベン得点」を招く当事者に。文字通り甲子園で天国と地獄の両方を味わう。また、主将に就任した昨秋は持ち味の思い切りが影を潜める場面が多かった。が、これも選手として、人間として超えるべき試練。本来持っている天真爛漫さに尊敬する立浪和義(元中日・WBC日本代表コーチ)のような「負けん気」の発揮法を覚えれば、一年前と同じ素晴らしい活躍が見られるはずだ。
一冬を越えてここに注目!/高校通算13本塁打のパンチ力に、50メートル走6秒3の俊足を出し切る元気な姿。「このセンバツが進路に大きくかかわる」とシビアさを併せ持つキャプテンシーにも注目。
プロ選手で例えたら…井端弘和(中日)

稲岡 賢太
鳴門高校 新3年/右翼手/右投左打/170センチ78キロ



ここに注目ベスト3
1.「尻」
2.「ネクストでの下半身動作確認」
3.「押し込み」
どんな選手?
/170センチ78キロ、太もも60センチ。大きな尻を動かし右に左にスプレーヒットを連発する様は、少々大げさながらまるで「打撃の神様」川上哲治のようだ。「ショートの頭を超える左中間への強いライナー」にこだわりを持つ辺りも、職人の匂いが漂う。これまで甲子園では16打数2安打と結果を残せていないが、今回は「1試合1試合に全力を尽くしたい」と平常心での活躍を誓う。
一冬を越えてここに注目!/スイングとサーキットで鍛え上げた下半身の動かし方。基本的に中距離打者だが、高校通算4本塁打からの積み上げにも期待。
プロ選手で例えたら…中田亮二(中日)

伊勢 隼人
鳴門高校 新3年/一塁手/右投右打/182センチ92キロ



ここに注目ベスト3
1.「器用さも備えるバッティング」
2.「野球技術を高める貪欲さ」
3.「天然系のコメント」
どんな選手?
/ヤング・徳島ホークス時代は四国少年硬式選手権で2試合連続アーチ。当時から飛ばす力には定評があった高校通算16本塁打の長距離砲。182センチ92キロ、背筋力265キロ、太もも63センチと恵まれた体格で四国大会準決勝では済美・安樂智大から2安打。加えて大逆転のきっかけを作った9回はバットを軽めにし、最初は空振り覚悟でスイングして次の直球を狙い打つクレバーさも見せた。
一冬を越えてここに注目!/この冬は追い込まれてから対応を探求。バットを立ててすり足で入る新フォームを手に入れた。対戦相手は「天然系コメント」に騙されると、痛い目を見ることになるだろう。
プロ選手で例えたら…山?武司(中日)

安樂 智大
済美高校 新2年/投手/右投左打/187センチ85キロ



ここに注目ベスト3
1.「ストレート」
2.「縦スライダー」
3.「高速ナックル?」
どんな選手?
/最速152キロ・今大会最注目の怪物右腕。松山クラブボーイズ(現:松山坊ちゃんボーイズ)時代に習得したクイックなどの投球基礎技術に、中学野球引退後、高校入学までに鍛えに鍛えた下半身。さらに済美入学後に叩き込まれた勝負根性で、全国での飛躍を期す。また、まるでフォークのように落ちる縦スライダーの切れ味も必見だ。
一冬を越えてここに注目!/入学後地道に続けた風呂上りストレッチにより、課題だった下半身の柔軟性はほぼ克服。ブルペンでは昨秋以上に体重が乗った伸びのあるボールを投じている。また、1月から投げ始めた高速ナックルを大舞台のどの場面で使うかにも注目してほしい。
プロ選手で例えたら…入団当初の平井正史(オリックス)

宇佐川 陸
済美高校 新3年/遊撃手/右投左打/181センチ74キロ



ここに注目ベスト3
1.「スケールの大きさ」
2.「バッティングセンス」
3.「自ら誓った守備での好プレー」
どんな選手?
/えひめ西リトルシニア時代から巧打の遊撃手として名を売るなど打撃センスは抜群。その反面、これまでは体力不足に起因する集中力欠如が目立ったが、この冬は63キロの体重を11キロ増やすことに成功。3センチ伸びた身長(182センチ)も相まって打席での迫力、パワーが増した印象がある。
一冬を越えてここに注目!/一にも二にも三にも四にも「心の成長」。悔し涙を何度も流した済美球技場での日々を晴れ舞台で思い出し、開き直りができれば守備面も含め、実力以上の結果が出せるはずだ。
プロ選手で例えたら…石川雄洋(DeNA)

高橋 潮生
土佐高校 新3年/投手/右投右打/178センチ72キロ



ここに注目ベスト3
1.「持ってる男」
2.「アンダーの腕振りでサイドハンド」
3.「格段に増したスピード」
どんな選手?
/土佐の秘密兵器。昨秋高知県大会3位決定戦で公式戦初登板を果たすと、いきなり2回を無失点で四国大会進出に貢献。リリースまではサイドハンドだが、最後に腕を突き上げるアンダーハンドの腕振りにより、ボールは独特の軌道を描く。さらにこの冬は体のメカニズムを覚えたことで昨秋まで130キロに満たなかったスピードも格段に増すことに。「今は135キロくらい出ていますね」と西内一人監督も目を細める。
一冬を越えてここに注目!/フリーバッテングで打撃投手を務めても、バッターを軒並み詰まらせる内角へのライジングストレート。只今、北海道日本ハムで売り出し中のドラフト7位ルーキー・河野秀数を彷彿とさせる切れ味とスピード感がある。
プロ選手で例えたら…河野秀数(日本ハム)

冨田 侑嗣
土佐高校 新3年/遊撃手/右投左打/180センチ75キロ



ここに注目ベスト3
1.「打席での大物感」
2.「スローイングまでのステップ」
3.「バットコントロール」
どんな選手?
/「見るたびに身長が伸びている感じを受けるな」と思って本人に聞いたら、「この1年で3センチ伸びました」と話す身長183センチ・リアル成長過程の大型ショートストップ。昨秋は腰痛に苦しんだが、それでも守備の脚運びや駆け抜けスピードの速さにはセンスの一端を感じさせる。
一冬を越えてここに注目!/「左足のテイクバック時、下からにならないようにしている」スイング軌道。上体に力が入らず、インパクトの瞬間のみに力が入っていれば、恐らく打球はヒットゾーンに飛んでいるはずだ。
プロ選手で例えたら…川端慎吾(ヤクルト)

森下 貴裕
土佐高校 新3年/中堅手/右投右打/177センチ76キロ



ここに注目ベスト3
1.「豪快なスイング」
2.「ソフトボール仕込みの伸びる打球」
3.「全国舞台での強さ」
どんな選手?
/小学校では嶺北ジュニアで和田恋(高知)を露払いに4番に座り、本山町立嶺北中時代、ソフトボールでは中学大会全国2冠。県内人権作文コンテストでも最優秀賞を受賞するなど、文武両道を地で行く大器。根を生やす大木のような打席から繰り出す豪快なスイングは、相手投手に限りない恐怖感を与える。
一冬を越えてここに注目!/ソフトボール出身者ならではの「ひと伸び」。まだ攻守の各所で見えるソフトボールと野球との感覚差是正がなされれば、大ブレイクも十分ありえる。
プロ選手で例えたら…ミューレン(元ヤクルトほか・WBCオランダ代表監督)


<四国地区・センバツ出場校紹介>
高知高等学校(高知県) 監督・島田 達二 主将・和田 恋
秋季高知県大会:優勝 四国大会:優勝 明治神宮大会:1回戦

どんな高校?/捕手・左翼手が定まらない点は不安だが、坂本優太投手、酒井祐弥投手、和田恋三塁手兼投手の「最速140キロ以上トリオ」や、堅守の和田誉志人二塁手、巧打の杉本大紀右翼手。さらに土居弘洋遊撃手、上田隼也中堅手といった俊足の高知中出身2年生をバランスよく配置する。センバツでは1975年(昭和50年)第47回大会で全国制覇。当時は杉村繁三塁手(現ヤクルト2軍打撃コーチ)、本多利治二塁手(現春日部共栄高監督)などが力を発揮した。

鳴門高等学校(徳島県) 監督・森脇 稔 主将・河野 祐斗
秋季徳島県大会:優勝 四国大会:準優勝

どんな高校?/「去年より今年の方が個性のあるチーム」(主将・河野談)。昨年春夏甲子園経験者に加え、走塁技術はプロ級の中野勇輝二塁手。筋力はチームの底辺を彷徨うが、バットコントロールは抜群の2年生・鳴川宗志左翼手。ワイルド系・甲本裕次郎中堅手など、普段はバラバラに見えるが、力の出しどころをよく知る面子がそろう。イケメン右腕・板東湧梧投手の出来次第では、昨年ベスト8以上の躍進も決して夢ではない。

済美高等学校(愛媛県) 監督・上甲 正典 主将・太田 裕也
秋季愛媛県大会:優勝 四国大会:ベスト4

どんな高校?/ボーイズ日本代表(春日井ボーイズ)の林幹也二塁手(2年)、秋季公式戦4割以上の打率を残す山下拓真右翼手など、潜在能力を持つ選手は多いが、間違いなくチームの看板は最速152キロ豪腕2年生・安樂智大投手。それゆえに心配なのは安樂が崩れた際のメンタル。上甲正典監督は事あるごとに「丸3年間愛媛県勢が勝てていないから(最後の甲子園勝利は2009年夏・西条)、絶対に1勝はしなければならない」と語り、選手たちに団結の大切さを説いている。

土佐高等学校(高知県) 監督・西内 一人 主将・織田 真史
秋季高知県大会:3位 四国大会:1回戦 21世紀枠選出

どんな高校?/「21世紀枠」とはいえ、強豪ひしめく高知県で常にベスト4を争う実力者。右翼手と投手を兼ねる久保田周(新2年)選手、新人戦決勝では明徳義塾の大型左腕・小方聖稀投手にグランドスラムをお見舞いした主将の織田真史左翼手など、個々のポテンシャルは極めて高い。腰痛から回復したエース・宅間健翔投手も只今センバツ用の新球を習得中。対戦相手は「全力疾走」ばかりに目を取られていると、足下をすくわれることになりそうだ。


■プロフィール
寺下 友徳(てらした・とものり)/1971年生まれ。2007年2月より関東から愛媛県松山市に移住し、四国の野球・スポーツを追求中。『週間サッカーダイジェスト』(日本スポーツ企画社)、 『サッカー批評』(双葉社)他、多数媒体での執筆実績あり。 本年は人間として幅を広げるとと同時に、新たな業態へのチャレンジも。Twitterアカウントは@t_terashita

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