【2015夏の高校野球】《静岡観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド

2015/6/29

7月11日〜28日（静岡県草薙総合運動場硬式野球場ほか）

148キロ右腕・小澤はじめ逸材の宝庫
センバツ8強・静岡打線の破壊力は圧巻

●大型本格派が続々と登場！

　今年は人材豊富といわれる静岡。筆頭格は昨夏2年生ながら148キロを叩き出した小澤怜史（日大三島）だ。低めに伸びるストレートは内外角のコーナーに決まり、わかっていても手が出ない。ただ、試合によって調子の波が大きい投手。夏は、いかにベストの状態を維持できるかがカギとなる。

　この春、ドラフト候補に急浮上したのが191センチの長身右腕・杉山一樹（駿河総合）。昨秋はテークバックで腕が大きく背中に入っていたが、一冬の間に修正。3月の練習試合では145キロをマークし、県大会には多くのスカウトが訪れた。

　杉山賢佑（東海大翔洋）もプロ注目の1人。193センチの長身で、長い腕を豪快に振る。フォームにクセがなく、指にかかったときのストレートは絶品だ。

　掛川西の「140キロコンビ」も見逃せない。齋藤健はバランスのいいフォームから角度十分のストレートを投げ込み、平尾直也はムチのような腕がしなる。

　春は県大会出場を逃したが、吉田一稀（浜松工）と袴田海斗（浜松学院）も本格派右腕として期待の逸材。両投手とも故障に苦しんだが、夏に向け状態を上げている。

　左腕では久郷太雅（沼津東）の名前が挙がる。肩、ヒジが柔らかく、伸びしろも十分。ストレートは球速以上の速さを感じ、変化球も多彩だ。

　2年生では村木文哉（静岡）が一歩抜けた存在。130キロ台後半のストレートに加え、センバツ大会で多投したフォークのキレも抜群。大崩れしない安定感はまさに名門のエースにふさわしい。

　来年のドラフト候補として期待されるのは佐藤蓮（飛龍）。球質の重いストレートを武器にパワフルな投球を見せる。

☆★☆ 打者編 ☆★☆

●夏も万全な静岡超強力打線

　今春センバツ8強・静岡打線の破壊力は群を抜いている。中でも堀内謙伍はどんなコースでも苦にすることなく、左右どちらにも長打を放つことができる。春の県大会では、徹底マークに合いながらも5試合で8安打8打点をマークした。4番の安本竜二は昨秋の東海大会で1試合2発の大活躍。鋭いスイングは目を見張るものがある。トップバッターの鈴木将平は巧みなバットコントロールで出塁率が高く、果敢に次の塁を狙う走塁センスも出色だ。

　他校では1年夏から4番に座る大本拓海（掛川西）に注目したい。センターライナーが、そのままスタンドに突き刺さるような鋭いライナー性の打球が持ち味だ。

　池井戸智矢（清水西）は高校通算30本超えの強打者。体型は違うが、大谷翔平（日本ハム）に似たフォームからバットにボールをのせて本塁打を量産する。

　長打力なら小野寺拓海（常葉学園橘）も負けていない。豪快に引っ張ってレフトスタンドに持っていくパワーを持つ。

　この春、古豪を県ベスト4に導いた伊奈堂（浜松商）はシャープなスイングが持ち味。走攻守の三拍子が揃う。

　最後になるが、見逃せないのは光岡廉（藤枝明誠）の守備力だ。「猛肩」と呼ぶにふさわしい二塁送球は一見の価値がある。

☆★☆ 大会展望 ☆★☆

●優勝候補の静岡を止めるのは？

　昨夏から県3連覇中の静岡がダントツの優勝候補。エース・村木が盤石で、村松遼太朗、高橋陸、山本優輝といった好投手も控える。打線は1番から9番まで切れ目がなく、県内で負けるイメージが湧かない。止める可能性があるとしたら、日大三島か。小澤がベストな状態で静岡戦に挑むことができれば面白い。虎視眈々と実力をつけてきたのが藤枝明誠。2011年に静清をセンバツに導いた光岡孝監督の下、まとまりのあるチームを作り、甲子園初出場を見据えている。