沢村賞の選考基準と、2人のここまでの成績は以下の通りだ。
■沢村賞の選考基準
登板試合数:25試合以上
完投試合数:10試合以上
勝利数:15勝以上
勝率:6割以上
投球回数:200回以上
奪三振:150個以上
防御率:2.50以下
■菅野智之の今季成績
20試合:4完投/13勝5敗/勝率.722/投球回149.1/145奪三振/防1.87
■菊池雄星の今季成績
20試合:4完投/12勝5敗/勝率.706/投球回144.2/165奪三振/防1.93
ご覧の通り、今のところ拮抗した成績を残している。完投、投球回は達成できるか微妙な状況だが、例年通りの裁定ならば該当者なしにはならないだろう。
沢村賞は歴代受賞投手による合議制のため、どこが焦点になるかはその年によって異なるが、大きな論点になりそうなのが勝利数。1988年に大野豊(広島)が13勝7敗で受賞しているが、そのほかの受賞者は15勝以上を挙げている。
近年、完投数には目をつぶる傾向にあるが、勝利数は譲れないスタッツだ。一方が15勝、もう一方が14勝となると「15勝」が優先される可能性は高い。勝ち星がひとつ多い菅野が一歩リードか。
原則1年に1人の受賞であるが、例外もある。2003年は井川慶(阪神)と斉藤和巳(ソフトバンク)が史上唯一のダブル受賞を果たした。
■井川慶の受賞年の成績
29試合:8完投/20勝5敗/勝率.800/投球回206/179奪三振/防2.80
■斉藤和巳の受賞年の成績
26試合:5完投/20勝3敗/勝率.870/投球回194/160奪三振/防2.83
今年はこのときの状況に近いものがあるが、2003年は阪神とダイエーがともにリーグ優勝し、さらに両リーグから同時に20勝投手が現れたのが1982年以来という御祝儀的な側面もあった。
果たして今年の沢村賞争いはどんな決着となるのか? 菅野と菊池の登板から目が離せない。
文=落合初春(おちあい・もとはる)