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引退時の名言で振り返る! 2014年プロ野球引退選手たち!!

 阪神とソフトバンクの間で日本シリーズ。栄光の日本一を目指す両チームの戦いは、プロ野球ファンから大きな注目を浴びている。

 そんな華やかな舞台の裏側で、今年もプロ野球の世界を去って行く選手たちがいる。今週のこのコーナーでは、ユニフォームを脱ぐ決断をした戦士たちにスポットライトを当て、彼らの引退発表時のコメント(一部)を紹介して、その功績を振り返ってみたい(引退選手は10月27日現在)。


◎セ・リーグ編

◆阪神タイガース
30久保田智之

「ジェフ、球児と一緒に『JFK』と呼ばれるようになって、全国の人に知ってもらえて僕自身幸せでした」

 日本一の座を懸けて戦っている阪神からは、稀代のリリーバーが引退を決断した。ジェフ・ウィリアムス(Jeff)、藤川球児(Fujikawa)と「JFK」を形成し、2005年のリーグ優勝に大きく貢献した久保田(Kubota)。一時代を築いた“松坂世代”が、また1人、現役を引退してしまった。

 埼玉・滑川高時代は捕手と投手を兼任し、甲子園のマウンドにも登った。甲子園初出場ということに加え、「背番号2の正捕手が、リリーフとして投げ、しかもトルネード投法」という珍しさで一躍、注目を浴びる。投手願望が強かったため、投手として誘われた常磐大に進学し、150キロを超えるストレートで押す投球で活躍した。卒業後に阪神へ入団。2007年に記録した90試合登板は、今では考えられない登板数だ。

 阪神では久保田のほか、オリックスでも活躍した19年目のベテラン捕手・日高剛、2000年ドラフト2位で横浜に入団し、ロッテでも活躍した左腕・吉見祐治らが引退を表明している。

◆広島東洋カープ
23横山竜士

「自分は今シーズンで引退しますが、カープの未来は明るいです!」

 海を渡った黒田博樹(ヤンキース)とともに、カープ暗黒時代を支えたタフネス右腕は広島一筋20年。福井商高から1994年ドラフト5位で入団。球団5位の507試合に登板して積み重ねた110ホールドは、地味ながら球団1位の記録だ。

 10月6日、今季限りで現役引退する横山にサプライズが待っていた。試合終了後、本拠地最終戦セレモニーで、野村謙二郎監督に呼ばれて急遽、ファンに挨拶をすることになった横山。「未来は明るい」と言い切った大先輩の言葉を胸に刻んで、若鯉たちは来季は一層、大きく跳ねてほしい。

◆中日ドラゴンズ
39三瀬幸司

「プロ野球の世界に入ってきて、4、5年できたらいいなと思っていたのが気がつけば11年、楽しい時辛い時、すべてをひっくるめていい野球人生だったなと思います」

69小林正人


「左のサイドスローにしたのも森(繁和)ヘッドコーチから進言だったので、この一言がなければこんなに長くできることもなかったと思います」

23鈴木義広

「落合(博満)GMからは『スーさんもヘタったな』って言われました」

 本拠地最終戦で揃ってリリーフ登板して、ファンに別れを告げた3投手。2003年ドラフト7巡目でダイエー入りした三瀬は28歳でプロ入り。その後、息の長い活躍をみせてくれた。

 小林は最終登板で三振を奪い涙。阿部慎之助(巨人)キラーとしても名を馳せた。また、鈴木はその最終登板でなんと、黒羽根利規(DeNA)に本塁打を浴びてしまった。「これで(現役に)諦めがつきました」と笑顔で締めくくった。

 他にも、DeNAからは育成選手のケビン・モスカテル捕手が、ヤクルトからは、阿部健太と山本斉の両投手と、新田玄気捕手がそれぞれ、現役引退を表明している。


◎パ・リーグ編

◆オリックス・バファローズ
36平井正史

「ケガをすることも野球のうちですが、ケガをしないようにするには、どうしたらいいのか。ケガをしてしまったら、どうしたらいいのか。などを若い選手に伝えていけたらなと思っています」

 平井の野球人生は、ケガとの戦いだったといっても過言ではないだろう。1993年ドラフト1位でオリックスに入団。1995年には新人王を最多セーブ投手に輝き、1996年には日本一に貢献。1999年以降はケガなどに苦しみ、2003年には中日へ移籍。カムバック賞を受賞し、中継ぎ投手として活躍した。2012年に戦力外通告を受け、古巣・オリックスに11年ぶりに復帰したが、往年の輝きを取り戻すことはできなかった。

 来季よりオリックス2軍投手コーチ就任が発表された平井。天国も地獄も味わった平井だからこそ、若手選手に教えることはたくさんあるはずだ。

◆北海道日本ハムファイターズ
8金子誠

「最後に 今日は僕のために集まってくれて、ありがとうございました」

41稲葉篤紀

「中田翔のことをよろしくお願いします」

 東京ドーム時代からチームを支え続けてきた金子。いまでは考えにくいが、当時は不人気球団だった日本ハム。観客席が多い東京ドームであるゆえに、余計にガラガラのスタンドが目立つ中で己の技を磨き、見えないところでチームに貢献してきた。チームが常勝軍団に成長したのは、間違いなく金子のおかげといってよいだろう。

 一方、現役20年間で通算2000安打を達成した以外にも、球界への貢献が評価された稲葉。コメントでは、自分の代わりにチームを背負っていく後輩の中田に対して奮起を促すなど、心憎いコメントを残した。その性格は「人格的にも野球に取り組む姿勢は模範になる」といわれ、パ・リーグ特別功労賞の受賞も決まった。

 先日のパ・リーグCSファイナルステージ最終戦で、ソフトバンクに敗れた日本ハム。試合後は両チームの選手が入り乱れ、金子と稲葉は胴上げされた。パ・リーグを長く支えてきた2人へのささやかなサプライズであった。なお、27日には西武、オリックス、そして日本ハムとパ・リーグ一筋でプレーした、赤田将吾も引退を発表している。

◆千葉ロッテマリーンズ
22里崎智也

 「来年2015年は21世紀に入って千葉ロッテマリーンズが最も輝く5年に1度のゴールデンイヤーの周期が来ます」

 と、断言したのは、2005年、10年ともに司令塔としてチームを日本一に導いた、里崎らしいコメントだろう。2015年は5年周期で日本一になる年だと確信しての一言で、「これからの時代を担う選手たちが必ず来年日本一になってくれると僕は信じています」と後輩へ希望を託した。

 また、西武から2013年にロッテへ移籍したG.G.佐藤も引退を表明。一般企業への就職も決まっているといい、G.G.佐藤から、本名の佐藤隆彦へと戻って、新しい世界での活躍に燃えている。

 上記の選手以外にも、既に戦力外通告を受けた選手たちがたくさんいる。現時点では、プロ野球の世界から足を洗うのか、それともトライアウトを受けるなど、僅かな可能性に懸けて現役を続けるのか、未定の選手たちも多い。

 数多くの戦士たちがユニフォームを脱ぐ決断をした2014年秋。その在籍期間が、たとえわずかな期間であっても、プロ野球の世界に足跡を残した選手たちの輝きは、決して色褪せることはないだろう。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。自他共に認める「太鼓持ちライター」であり、千葉ロッテファンでもある。Twitterは@suzukiwrite

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