昨年12月、日本ハムの高梨裕稔と太田賢吾、ヤクルトの秋吉亮、谷内亮太の2対2のトレードが決まった。
秋吉は2017〜2018年は本調子ではなかったとはいえ、2015年に74試合、2016年は70試合に登板を果たした実績あるリリーフ。高梨も2018年は5勝7敗と冴えなかったが、新人王を獲得した2016年以降、3年連続100イニング超えを記録している実績ある先発だ。
近年、特に日本ハムはハイブリッド経営でトレードの主役に躍り出ている。あらためて日本ハムのトレードを振り返ってみたい。
■2013年1月のトレード
日本ハム→オリックス:糸井嘉男、八木智哉
オリックス→日本ハム:木佐貫洋、大引啓次、赤田将吾
近年最もビッグなトレードだったのは、2013年1月、糸井嘉男(現阪神)が絡んだ2対3のトレードだろう。日本ハム・糸井、八木智哉(引退)に対し、オリックスは木佐貫洋(引退)、大引啓次(現ヤクルト)、赤田将吾(引退)を放出。ちょうど大谷翔平(現エンゼルス)の入団1年目のことだった。
当時、糸井はメジャー挑戦へのポスティングを要求しており、契約更改が難航。ならば、と日本ハムは全員レギュラー級のトレードを敢行した。現有戦力もピリッとしたことだろう。
2017年もシーズン中にエスコバーとDeNA・黒羽根利規のトレードに踏み切ったように助っ人を交えたトレードも、日本ハムは厭わない。
外国人枠が固まったと見るや、トレードで戦力整理を始める。2017年には谷元圭介を中日に、2018年も市川友也をソフトバンクとの金銭トレードで放出したが、本当にタブーなしだ。
2016年11月のトレードもそのひとつだろう。
■2016年11月のトレード
日本ハム→吉川光夫、石川慎吾
巨人→日本ハム:大田泰示、公文克彦
2012年のMVPであり、2016年も109回2/3を投げた吉川光夫を切り札にして、伸び悩む巨人の至宝・大田泰示と期待の若手左腕の公文克彦を獲得。本当に欲しい選手は本気で獲りにいく。
それは日本人選手に限らない。
■2010年11月のトレード
日本ハム→巨人:須永英輝、紺田敏正
巨人→日本ハム:オビスポ
2010年にはオビスポを獲得。育成出身で2009年に6勝を挙げたものの、出場機会に悩むオビスポ(退団)を2対1のトレードで射止めた。8年ぶりの外国人が絡むトレードだった。結局、オビスポはその年、2登板に終わり、そのまま戦力外通告。このドライさもたまらない。
また須永英輝(引退)は2015年6月に巨人・須永と矢野謙次(引退)、日本ハム・矢貫俊之(引退)と北篤(引退)の2対2で日本ハムに復帰している。
■2008年11月のトレード
日本ハム→巨人:MICHEAL(マイケル中村)、工藤隆人
巨人→日本ハム:二岡智宏、林昌範
これもすごいトレードだった。右の強打者を求める日本ハムはスキャンダルで週刊誌を騒がせた二岡智宏(引退)に照準を絞った。しかし、巨人の選手会長を獲るのは容易ではない。そして出したのが、3年連続で守護神を務めていたマイケル中村(引退)だった。
当時はダルビッシュ有(現カブス)の年俸の捻出とも言われていたが、翌2009年、MICHEAL改め「M.中村」は29試合で防御率6.18と奮わず。すさまじい見切りだった。
それにしても日本ハムと巨人のトレードはビッグなものが多い。持ちつ持たれつの互恵関係だ。その他、日本ハムとヤクルトもかなり緊密で複数トレードも数回ある。
ぶったまげるトレードでオフの野球界を盛り上げる日本ハム。しかし、腹の内はまさに虎視眈々。まだまだビッグなトレードを続ける気は満々だろう。
文=落合初春(おちあい・もとはる)