受賞打となった宮崎の一打は、8月22日の横浜スタジアムでの広島戦で生まれた。この試合、DeNAは9回表を終えた時点で2対5。3点のリードを許す厳しい展開だった。
しかし9回裏、先頭の柴田竜拓がライト前ヒットで出塁すると、続く筒香嘉智がライトスタンド上段に2ランホームラン。これで1点差となる。その勢いに乗ったロペスも、レフトスタンド中段に同点ソロ。もうこの時点でハマスタのスタンドはお祭り騒ぎ。そして、宮崎がサヨナラの一発をレフトスタンド最前列に突き刺し、乱戦にピリオドを打った。3者連続本塁打でのサヨナラは、史上初の快挙だった。
なお、この勝利で火がついたDeNAは、翌日も9回裏にロペスの同点ソロで延長に持ち込み、10回裏に梶谷隆幸が右中間へのサヨナラタイムリー二塁打を放ち劇勝。翌々日も5回を終えて3点ビハインドの試合を、6、7、8回に1点ずつ加え同点とし、9回裏に倉本寿彦が放った二塁前への小飛球が変則バウンドとなってサヨナラの内野安打。首位独走中の広島相手に、3試合連続サヨナラ勝ちという神がかったゲームを見せた。
一方、栗山の一打は、緊迫した試合展開の中で飛び出した。8月17日にメットライフドームで行われた西武対楽天の一戦は、両軍投手陣の奮闘で9回表を終えて0対0。9回裏の西武の攻撃も、山川穂高、森友哉と連続して外野フライに倒れ、延長戦突入かと思われたところで、外崎修汰が二塁打。続く炭谷銀仁朗が死球とチャンスを作る。このチャンスに代打で起用されたのが栗山巧。楽天・ハーマンの投じた152キロの速球を、逆らわずにレフトスタンドへ運び劇的な幕切れとなった。栗山のサヨナラ本塁打は通算7本目だが、代打では初のことだった。
ちなみに昨年は、セ・リーグが広島の鈴木誠也、パ・リーグがソフトバンクの吉村裕基が同大賞を受賞。両選手の今季はというと、鈴木は守備での故障により後半戦を棒に振り、吉村は若手の台頭もあってなかなか出番に恵まれず。
劇的なサヨナラ打を放ったことで運を使い果たした……、なんてことはないと思うが、宮崎、栗山には、来季もここ一番での勝負強い打撃に期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)