2012年ドラフト7位で祐誠高から中日へ入団した若松駿太。高校時代は甲子園とは無縁で目立った成績を残していない。その若松が突如ブレイクしたのは3年目の2015年だった。
4月半ばからローテーション入りを果たすと交流戦で初勝利を達成。8月には完封勝利を含む4連勝をマークし、月間MVPに輝く。最終的には2ケタ勝利となる10勝を挙げた。そんなブレイクを果たした若松には、翌年以降のローテーション候補として大きな期待が寄せられた。
その武器となったのは野球ゲームからヒントを得たというチェンジアップだ。ストレートと同じ軌道で打者に向かってくるこのボールで打者を幻惑し、凡打の山を築いていた。
しかし、ブレイク以降は打ち込まれることも多くなり、2016年こそ7勝をマークしたが、今季はわずか1勝。2年前のブレイクから一転、来季は背水の陣となる。5年連続Bクラスとなったチームにとって、2ケタ勝利を期待できる投手の存在は大きい。かつてのエース・吉見一起とともに復活を期待したい。
2014年ドラフト2位で日本大から巨人に入団した戸根千明。左の中継ぎとしてルーキーイヤーの2015年からはやくも46試合に登板。1勝1敗、1セーブ、5ホールド、防御率2.88の成績をマークした。翌2016年は防御率4.50と悪化したものの、42試合に登板。鉄腕・山口鉄也に衰えが見え出した時期に現れた救世主のはずだったのだが……、今季は森福允彦の加入、自身の不調もあり2軍暮らしが続いた。
その2軍では48試合に登板して2勝3敗、18セーブ、防御率1.76と好成績を残し、最多セーブを記録。2軍の打者相手には貫禄をみせたが、1軍では6試合の登板で1勝0敗、防御率6.75と戦力になったとは言い難い。
リリーフ投手は短命だと言われるが、山口は9年連続して60試合以上に登板した。戸根はここでへばるわけにはいかない。打撃陣の世代交代が叫ばれる巨人だが、左の中継ぎ投手も同様だ。来季は山口からバトンを受け継ぎ、世代交代を完了させたい。
2014年ドラフト6位で日本ハム入団にこぎ着けた立田将太。大和広陵高時代は、故障のリスクが高まるような間隔で登板せず、プロ入り後の活躍を目指してトレーニングを行った。甲子園が大目標の高校球児にとって、過度な投げ込みは誰しもが通ってきた道。しかし、立田は“将来”を最優先するポリシーを貫いた。
立田の姿勢に賛否両論が起こったが、立田が成功すれば高校野球の在り方が変わるかもしれない、とも言われた。
その立田は3年目となった今季まで1軍登板はない。2軍では今季21試合に登板し、5勝8敗、防御率6.00と今ひとつ。また、防御率以上に目立つのが、57回で49四球という与四球の多さだ。来季は制球を磨き、まずは1軍で登板を。そして、己を貫いた先のドラマを見せてほしい。
文=勝田聡(かつた・さとし)