3月23日開幕のセンバツ。今回は優勝候補予想を行いたい。まずは今大会のトーナメント表をチェック。大会第1日の開幕ゲームから優勝候補の履正社(大阪)と星稜(石川)が対戦するなど、21世紀枠を含めても32校しか出場できないセンバツの、初戦から有力校がぶつかりがちな妙が浮き彫りになっている。
ただ、それが如実に表れているのは、山梨学院(山梨)、筑陽学園(福岡)、広陵(広島)、八戸学院光星(青森)、東邦(愛知)が登場する大会第3日・第3試合から第4日・第3試合にかけてのトーナメントの山(ヤグラ)。このヤグラがいわゆる「死のグループ」となっている。
野球に限らず、サッカーのワールドカップなどでも顕著なように、強豪が集う死のグループに入ったチームは抜け出すまでに力を消耗してしまう。そのため、どんな有力チームでも優勝までたどり着くのは難しくなりがちだ。いきなりの消去法で恐縮だが、このグループから優勝校が出る可能性は少ないのではないかと考える。
実力ではいかんともし難いトーナメント運。大会前の評価も加味して考察すると、組み合わせの面でいい塩梅に思えるのが第3日・第1試合に登場する龍谷大平安(京都)だ。
同じヤグラに横浜(神奈川)、札幌大谷(北海道)と実力校がいるが、下馬評通りに進めば、この2校の潰しあった後に、どちらかと対戦できる流れも龍谷大平安に味方していると思わずにいられない。
もちろんその先、準決勝まで進んだ場合は、隣のヤグラから勝ち上がってくる可能性が高い履正社、星稜、高松商(香川)などが待ち受けるわけだが、消耗度合いで言えば龍谷大平安に分があるはず。
京都府大会3位での出場ながら近畿大会で優勝した勝負強さが、このセンバツで再び火を噴くのではないかと読む。昨夏の龍谷大平安は同校通算甲子園100勝を達成。このセンバツでは1勝に迫った京都勢200勝を果たし、その先の景色も見せてくれるはずだ。
このようにトーナメントの妙からに導いた優勝予想は龍谷大平安だが、直感的に選びたくなるチームもある。それは1回戦のトリ(第6日・第1試合)を務める智辯和歌山(和歌山)だ。
昨夏をもって高嶋仁監督が勇退。約40年にわたってチームを率いた名将が退いたものの、後任の中谷仁監督がしっかりとナインをまとめ上げ、近畿大会ベスト4と就任後即、結果を出した。
現時点ではダークホース的な位置づけだが、勢いはある。気がついたら主役の座に躍り出ていた、という可能性は十分ある。優勝候補に挙げられているチームだけでなく、虎視眈々と頂点を狙うダークホースや伸びしろの大きな隠れた実力校の健闘にも期待したい。
根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)を擁した大阪桐蔭(大阪)が制してから早1年。ディフェンディングチャンピオンは今センバツの出場を逃したが、また新たな勇者たちが伝説を作ろうとしている。
そんな彼らの戦いを予想するのはとても楽しい。それも高校野球の醍醐味だろう。予想を超えるチームの躍進は大会中の成長によるところが大きいが、高校生のポテンシャルには本当に驚かされるばかりだ。
本番まで指折り数えて……というところまできたので、今年も自分の予想が当たるのを期待しつつ、外れる喜びも味わいたいと思う。
文=森田真悟(もりた・しんご)