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「権藤、権藤、雨、権藤…」。ルーキ、秋吉亮…。2016年、権藤博氏ばりにフル回転したリリーフたち


「権藤、権藤、雨、権藤…」。権藤博氏(元横浜監督ほか)は現役の中日時代、ルーキーイヤーの1961年から連投に次ぐ連投を見せ、その奮闘ぶりからこんな流行語が生まれた。

 今、鉄人リリーバーの価値が、さらなる高まりをみせている。というのも、昨季の交流戦の飛び石日程を解消するために、3連戦以上のカードが増加し、どうしても連投せざるをえないシチュエーションも増したからだ。

 リリーフ投手の連投。じつは、ぼくらが想像する以上に多くはない。

 連投の定義を、「間に移動日を挟むこともある試合日」という視点ではなく、「3日連続登板を3連投」とするカレンダー通りの位置づけにすると、今季、NPBで記録された救援起用は全体の76%が単発登板で、2連投は18%、3連投以上はわずかに6%だった。

「3連投以上の起用が5回以上」貴重な存在の鉄人リリーバー


 昔と比べ、各球団とも頭を悩ませながらも、ブルペン陣のコンディションに配慮し、分業制を推し進める意識が高まっている。そのなか、多少の無理が効くタフネスリリーバーは、幅のある投手運用を可能にさせる貴重な戦力である。下記に挙げた4投手は、そうした存在だ。

■2016年、3連投以上の起用が5回以上あったリリーフ投手
ルーキ(ヤクルト): 6回
秋吉亮(ヤクルト)/田原誠次(巨人)/福山博之(楽天):5回

 来日1年目で69試合に登板し、防御率3.06のルーキ(ヤクルト)は、5月上旬から7月下旬の間に6度の3連投を経験した。

 秋吉亮(ヤクルト)は1年目から3年連続で60試合以上に登板し、投球回数も70回、もしくはそれ以上をこなす鉄腕ぶりを発揮。今季も約2カ月の短期間で5度の3連投を見せ、11月には侍ジャパンでも好投と活躍した。

 今季、自己最多の64試合に登板し、防御率3.46と花開いた5年目の27歳右腕・田原誠次(巨人)は、2度の3連投に、3度の4連投でチーム貢献。ちなみに、4連投以上の起用数は両リーグ最多数だった。

 「3連投以上が5回以上」には達していないが、福山博之(楽天)もよく働いた。3年連続で65試合超の登板数は、ここ10年パ・リーグで前例のない快挙。今季は3度の3連投に加え、昨季は1度もなかった4連投を2度経験している。

5日連続でマウンドに向かった3人の猛者たち


 今季の連投数に目を向けると5連投が最多。DeNAの田中健二朗と三上朋也、ソフトバンクの守護神・サファテが投げ抜いている。

 田中は自己最多の61試合に登板し、防御率2.45。三上は59試合に登板し、防御率2.61。好成績を残した両投手は、8月3日の阪神戦から5日連続で登板した。この時期、チームは3位。阪神が巨人を追い上げる状況で、Aクラス争いの戦線の只中にあった。いずれも僅差でリードした試合終盤、勝ちパターンで腕を振った。

 サファテは、5月3日の日本ハム戦から5連投を記録。おりしも5連投目の7日、楽天戦は、熊本地震で被災した小学生50人をサファテ自らヤフオクドームに招待した特別なゲーム。9回に登板し、1点リードのなかでピンチを背負ったが、150キロ超の自慢の剛速球を中心に後続をねじ伏せ、お立ち台に立っている。

 しかし、投手の肩とヒジは消耗品。特に長年フル回転してきたサファテ、福山、秋吉あたりは勤続疲労も心配。それだけに、年末年始は疲れた精神と体をしっかりリフレッシュしてもらい、健康状態をキープし、来季もチームを大いに助けてもらいたい。


文=柴川友次
NHK大河「真田丸」で盛り上がった信州上田在住。真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える楽天応援の野球ブロガー。鷲ファンきってのデータマニアとして、楽天戦のあらゆる記録を徹底収集。その成果をブログや有料メルマガで発表するかたわら、ネットメディアにも寄稿。Twitterは@eagleshibakawaでフォロワー数2500人超え。

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