甲子園出場校が続々と決定していく夏の高校野球。西東京大会では、早稲田実業が決勝進出を決めた。準決勝で対戦した優勝候補の日大三を撃破したのは、怪物ルーキー・清宮幸太郎のバットだった。運命の決勝戦の直前に、今夏の大会の、清宮の戦いをまとめてみた。
7月16日、早稲田実業の初戦は西東京大会3回戦の東大和南戦だった。ところが悪天候のため、午前7時30分に中止が決定。順延となった翌17日も、午前9時頃に雨が強くなって試合開始が遅延。ベンチで1時間半も待機していた清宮は、10時30分に中止が決まると、終業式が行われていた学校へと戻った。
待ちに待った18日、ようやく試合が行われた日は土曜日ということもあり、八王子市民球場には3500人もの観衆が詰めかけた。3番一塁手でスタメン出場した清宮は、第4打席までノーヒット。しかし、8回1死三塁のチャンスで迎えた最終打席。ショート後方に落ちるポテンヒットがタイムリー安打となり、今夏初安打を記録した。この日は3打数1安打1打点。
守備では7回に平凡なライナーを落球するなど、失策も記録。90人以上の報道陣やスカウト陣らが見守るなか、やや期待ハズレの今夏デビューとなった。
翌19日に行われた早稲田実業対府中西は、ベスト16をかけた試合。ここで清宮は、2打席連続のタイムリー二塁打で3打点をマークする活躍を見せた。この日は50人以上の報道陣と、約4000人の観衆が見守るなかで汚名返上。早稲田実業は7回コールド、12−5で勝利した。
7月22日、ついに清宮は“学生野球の聖地”と呼ばれる神宮球場に登場した。準々決勝・早稲田実業対八王子は、観衆1万3000人が集まる大フィーバー。試合開始1時間前には、内野席はほぼ埋まり、2階席は満席になった。第4試合だったこともあり、放送時間の関係で中継を予定していたテレビ局が早稲田実業の試合を最後まで放送することができなかった。ネット上では、そのテレビ局を非難する声も上がったほど、高い注目度となっていた。
その試合で清宮は3打数1安打。4試合連続安打をマークし、チームも11−5で勝った。
そして迎えた24日の準決勝。相手は最大の難敵・日大三との試合は、清宮のバットで試合が決まった。3回裏2死一、三塁のチャンスで迎えた第2打席で、清宮は右中間フェンス直撃のタイムリー二塁打を放った。これで2点を先取した早稲田実業は、最後までリードを守り切り、2−0で勝利し、決勝進出を決めた。
これで今大会の清宮の成績は、5試合で16打数9安打、打率.563、9打点。多くのファンが期待する本塁打はまだ出ていないが、十分な活躍を見せている。
5年ぶりの甲子園出場に王手をかけた早稲田実業。出場を決める決定打が、清宮の本塁打だとしたら、これ以上ドラマチックな展開はないだろう。運命の決勝戦は7月26日、神宮球場で11時プレイボールの予定だ。