12月13日、阪神のベテラン投手、能見篤史が社会貢献の一環として2014年から続けている玩具の寄贈式を、西宮市内の保育所で行った。
1勝につき10万円、今季は8勝を挙げたので80万円分の玩具(オリジナルのストラックアウトゲーム)を、甲子園球場のある西宮市の45施設と、能見の出身地である豊岡市の21施設に寄贈した。
この活動が認められ、社会貢献やファンサービスに継続的に取り組んでいる選手に贈られる「若林忠志賞」にも選出。11月の球団の納会で表彰された。
「若林忠志賞」は、阪神OBで、生え抜き投手最多の通算233勝をあげただけでなく、社会貢献やファンサービスにも積極的に取り組んでいた若林忠志氏に由来する賞。氏の功績をたたえるのと同時に、その遺志を受け継ぐにふさわしい選手に贈られる。
同賞は今年で6回目。過去には、母子生活支援施設の子どもたち公式戦に招待した桧山進次郎、フリースクールの児童を試合に招待した藤川球児、自身も闘っている1型糖尿病の患者を試合に招待した岩田稔、6年間で7000人以上の子どもたちを試合に招待した久保田智之、医療施設の慰問を続け、海外の子どもたちに靴を送る活動をしている鳥谷敬らが受賞している。
また、4年目の今季は122試合に出場し、打率.273と結果を出した北條史也も、12月9日に大阪府和泉市にある大阪府立母子保健総合医療センターを訪れ、クリスマスイベントに参加した。各病棟を回り、子どもたちにクリスマスプレゼントを渡し、クリスマス会では一緒にゲームをするなど親睦を深めた。
いろんな場所で触れ合って、特に若手選手は顔と名前を覚えてもらい、ファンを増やしていけば、それが野球をする上でのモチベーションにもつながる。また、病気と闘っている人にとっては、その選手の活躍が励みになることもあるだろう。
阪神以外の球団も社会貢献活動には力を入れていて、学校や病院の訪問以外にも、警察や消防の一日署長を務めたり、地元のイベントを盛り上げたりと、さまざまな形で参加している選手は多い。これも、野球が文化として地域社会に根付いた証なのかもしれない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)