まずは名手・クルーズが抜け、ナバーロも抜けた二塁のポジションから考えたい。昨シーズンの二塁手での出場数は以下の通りだ。
<2015年ロッテ二塁手>
・クルーズ 123試合(先発121試合)
・中村奨吾 30試合(先発15試合)
・三木亮 12試合(先発9試合)
・大嶺翔太 5試合(先発7試合)
・高濱卓也 2試合(先発1試合)
・根元俊一 1試合(先発0試合)
ほとんどの試合でクルーズがスタメンだっただけに本格的な穴だ。順当に行けば、2年目の中村奨吾…と言いたいところだが、今江敏晃が抜けた三塁手の穴もある。中村の昨年出場数は以下の通り(試合途中の守備位置変更による重複を含む)。
<中村奨吾ポジション別出場数>
三塁 47試合(先発40試合)
二塁 30試合(先発15試合)
中堅 13試合(先発12試合)
遊撃 5試合(先発3試合)
左翼 4試合(先発1試合)
三塁手ではチーム2位の出場数だった中村に続くのは、高濱卓也(9試合/昨季打率.286)、三木亮(5試合/打率.138)、細谷圭(4試合/打率.300)、大嶺翔太(2試合/打率.120)。
昨季後半から高濱が著しい成長を遂げているが、打撃面で劣る三木、大嶺や1軍で結果を出し切れない細谷では心もとなく、守備も加えた総合力では中村が最有力だ。
2月20〜21日のオープン戦2試合では、中村が1番三塁で先発出場しており、順調にいけばほぼ確定だろう。
そうなるとやはり二塁のポジションは鈴木大地となりそうだ。昨季は遊撃手に固定され141試合(先発137試合)に出場したが、2014年には51試合で二塁を守るなど経験は折り紙付き。
ほかに安定した戦力も見当たらず、チームのキャプテンである鈴木が引き受けることが濃厚だ。
そしてスライドして空くのが遊撃手。候補の1番手に浮上するのはルーキー・平沢大河だ。
ライバル候補は三木亮、大嶺翔太、高濱卓也の3人。しかし、先述の通り、三木は打力難で高濱の遊撃守備は疑問符(昨季2軍で36試合7失策、守備率.953)が残る。大嶺翔は攻守両面で遊撃手を務めるのはやや厳しい……。
そうなるとやはり遊撃・平沢に期待したくなるのは、ファンも首脳陣も同じだろう。
ただし、高濱、三木、大嶺翔ともに二塁、三塁もこなせるため、「ショートのレギュラー争い」という枠ではなく「内野のレギュラー争い」になる。平沢が開幕スタメンをつかむには、総合的な期待値で3人を上回ることが求められているのだ。
打力の高濱、堅守の三木、成長中の大嶺翔。報道では平沢の動向だけがピックアップされそうだが、誰か1人でも飛躍すれば、平沢の開幕スタメンは危うくなる。ポジションにとらわれず、マクロの視点でライバル3人のオープン戦での成績にも注目していきたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)