清宮幸太郎の後ろ、4番を1年夏から任されるスラッガー・野村大樹(早稲田実)。清宮が勝負を避けられるケースが予想されるなか、野村のバットが勝敗を左右する。しかし、昨秋の東京都大会では11試合で打率.459、4本塁打、18打点と打ちに打ちまくり、プレッシャーを跳ね返す強心臓ぶりを見せつけた。
プロのスカウトのコメントが思いのほか挙がってこないが、身長172センチとやや小柄なことも影響しているだろう。しかし、近年は森友哉(西武)、吉田正尚(オリックス)など小柄なスラッガーが増えており、甲子園での大爆発があれば、さらなる高評価を得そうだ。
同じく早稲田実では中川広渡も明治神宮大会で背番号1に昇格。センバツでのエースナンバーの行方はわからないが、各地域の秋季大会では全センバツ出場校で唯一の“背番号1を付けた下級生”になった。
最速137キロのストレートとカーブのコンビネーションを武器に秋季東京都大会では関東一戦で8回1失点、国士舘戦でも7回無失点と好投。全国クラスの相手を抑え込む実力を見せた。
中学時代から最速146キロをマークし、全中スキーアルペン回転を制するなど“スーパー中学生”の呼び名を冠した根尾昂(大阪桐蔭)。高校野球界の横綱・大阪桐蔭で早くも主力に成長している。
その投球もさることながら、打撃も優秀という二刀流。秋の大阪府大会では公式戦初安打となる代打本塁打を放ち、勢いに乗って4番に定着した。野手での出場時は遊撃や外野を守るなど、まさにスーパーユーティリティープレーヤー。走っても50メートル走6秒1の俊足と、ポテンシャルをひしひしと感じさせる男だ。
柳田悠岐(ソフトバンク)や糸井嘉男(阪神)を彷彿とさせるスーパーアスリート型の外野手・藤原恭大(大阪桐蔭)。昨夏から早くもセンターのレギュラーを奪い、センバツではトップバッターを任されそうだ。
ド肝を抜いたのは秋季近畿大会での一発。体を捻じ切るかのごとく振り切り、打球は紀三井寺球場のバックスクリーンに直撃。後ろに体重を残したフォロースイングは「柳田2世」と断言したくなるカッコよさだ。
昨年、兵庫でその名を轟かせたのは小園海斗(報徳学園)。50メートル走5秒9の俊足の持ち主で、走攻守三拍子揃った遊撃手。1年春からスタメンを奪取し、横浜の藤平尚真(楽天1位)や須磨翔風の才木浩人(阪神3位)ら、ドラフト上位クラスの3年生投手を打ち崩し、スカウトの視線を釘づけにした。
やや細身だが、その体に詰まったパワーは相当なもの。一冬越えてのセンバツでの立ち姿が楽しみだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)