プロ野球も前半戦終了。セ・リーグでは広島が大連敗で調子を落とし、巨人が貯金を独り占め。また阪神が下馬評を覆す健闘を見せており、前半戦は巨人、阪神、広島が話題の中心だった。
ところが前半戦終了時点でひっそりと同率2位に浮上したのはDeNA。DeNAのCSに向けた展望を占いたい。
(成績は前半戦終了時点)
なぜ、ここまでDeNAは目立たなかったのか。原因は4月の10連敗だろう。とにかく先発陣が手薄だった。エース・今永昇太が絶好調で開幕を迎えたものの、昨季の新人王・東克樹が左ヒジの違和感で開幕に間に合わず。石田健大も左ヒジの張りで開幕を逃し、いきなり急場になってしまった。
濱口遥大や井納翔一も万全ではなく、ところどころで離脱。打線では宮崎敏郎の大不振も重なり、黒星を増やしていった。
それでも持ちこたえたのは、新人2投手の奮闘があったからだ。ドラ1・上茶谷大河が14試合に先発し5勝3敗、防御率3.46の成績で先発2番手に浮上すると、ドラ3・大貫晋一も先発として11試合を投げ4勝3敗。防御率4.70はやや不安定だが、これは好不調の波の問題。好投したときはしっかりと勝ち星を挙げている。
今季はリリーフ陣も山崎康晃を除けば、やや不調に見えるが、石田健大が復帰後にリリーフ陣に入り、好調をキープしている。課題は引き続き先発陣になるだろう。
打線は整ってきた。宮崎が不調を完全に脱し、近年の課題だった1番打者には神里和毅が定着。戦える水準に達している。
先発陣では希望も見えてきた。猛チャージをかけているのは平良拳太郎だ。キャンプ初日に右足首の違和感で離脱し、その後も小さな故障に悩まされていたが、5月29日に自身の開幕を迎えると、5試合で1勝2敗、防御率1.98。黒星こそ先行しているものの好成績を残している。
濱口遥大も打球の直撃などの影響もあって波に乗れていなかったが、7月3日に1軍に戻ってきた。右ヒジの状態が気になる井納も6月からは先発ローテに復帰している。
この3人がローテにしっかり定着すれば、6人が揃う。万全であれば投手の頭数は豊富。阪神や広島と比べてもまったく引けをとらない状況になってきた。むしろローテの4人目から6人目の候補はDeNAが実績で勝っているのではないだろうか。
借金2ながら踏ん張っているDeNA。ひっそりとした前半戦から一気に巻き返す可能性は十分だ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)