今季で3年目を迎える岡は、キャンプ中のケガのために開幕直後は出遅れてしまった。
しかし、6月20日に1軍登録されると1番で即スタメン。その日に2安打を放った。翌日以降も4安打、1安打、2安打、2安打、2安打とまさに打出の小槌。6月の月間打率は驚異の.542をマークした。そして、岡の1軍登録前日から始まったチームの連勝は、最終的に7月11日まで続いた。
1軍登録以降、自身の好調な打撃に加え、勝利だけを味わった岡の胸中はさぞかし夢見心地だっただろう。
岡が打席に立つと、スタンドからは「エ〜ス〜、エ〜ス〜、エ〜ス〜、エースをねらえ!」の大合唱が起こる。
1970年代にヒットしたアニメ『エースをねらえ!』の主人公の名前が「岡ひろみ」だからだ。もっとも、スポ魂といっても野球ではなくテニスで、主人公も女子高生なのだが……。
余談ながら、アニメになぞらえると鬼コーチ・宗方仁の役どころは栗山英樹監督で、ひろみが憧れた華麗な先輩・お蝶夫人は陽岱鋼といったところか。
岡の打順は1番か9番での起用が多い。足のある岡がこのいずれかに収まると、西川遥輝、中島卓也、陽岱鋼の「歴代盗塁王トリオ」との組み合わせで「超高速打線」を形成することができる。
その昔、大洋の高木豊、加藤博一、屋鋪要が「スーパーカートリオ」として一世を風靡したが、岡を起点としたこの打線は、彼らをも超える「史上最速打線」として球界に君臨するかもしれない。相手にとってこれほど厄介な打線はちょっとないだろう。
大型連勝は一旦ストップしたが、ソフトバンクの背中は完全にとらえた。後半戦の激しい戦いに向けて、岡のさらなる飛躍に期待したい。
文=サトウタカシ (さとう・たかし)