阪神は、月別で見ると負け越しているのは6月のみ。これは、4試合が完封負け、残る4試合も3点以下に抑えられるという貧打に泣いた8連敗があったから。にもかかわらず、8月27日終了時点で貯金12。勝率.553は2015年優勝のヤクルトのシーズン勝率.539を上回っている。
ただ、ここまで11勝5敗でチーム勝ち頭のメッセンジャーが打球直撃による骨折。クローザーのドリスが体調不良による欠場と、頼みの外国人投手に相次いでアクシデントが発生。これは痛い。1軍再昇格直後の2試合で好投した青柳晃洋、ベテランの能見篤史や岩田稔ら残された投手陣がどこまでカバーできるかがポイントか。
DeNAは、8月22日の広島戦で、3点ビハインドの9回裏、筒香嘉智が2ラン、ロペスと宮崎敏郎がソロと、3連弾で3点差をひっくり返すミラクルなサヨナラゲーム。勢いのつく勝ち方だった。
昨季は8月に9勝15敗と落ち込みながら、9月に12勝8敗と盛り返して3位を確保している。データ野球を徹底するラミレス監督の采配がはまれば、昨季同様に最後の粘りを発揮できるか。
巨人は、菅野智之(13勝5敗)、マイコラス(12勝5敗)、田口麗斗(11勝2敗)の3本柱で貯金24。8月27日終了時点でチームの勝率は5割という数字を見ると、いかにほかの先発陣がピリッとしていないかがわかる。逆に考えれば、3本柱以外が5割でいければ、ここから浮上の目は十分にある。
打線も、ここからの戦い方を熟知している経験豊富なベテランが多いことがプラスに働きそうだ。
当然ながらここまでの成績は変えられないため、現在の順位が上のチームが有利。ただ、先に触れたように、阪神は確実に計算ができたメッセンジャーの離脱が痛恨。ドリスの復調も遅れるようなら、一気に下降線をたどってしまう可能性もある。
その点、先発陣が安定している巨人は、先を見た戦略を立てやすいのは事実。マギーを二塁、村田修一を三塁に置く攻撃型オーダーもなじんできた。陽岱鋼も全開で動いており、追撃態勢は整っている。
巨人が一気に2位まで浮上し、DeNAが昨季同様にラストの粘りを見せれば、阪神がAクラスも危うくなるという状況もあるかもしれない。いずれにしても、最後まで3チームのクライマックスシリーズ圏内を巡る争いは続きそうだ。
(成績は8月27日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)