【盛岡大付 8対6 九州国際大付(福岡)】
ロースコアの接戦、センバツ王者の完勝で開幕した甲子園大会の初日。3試合目に登場した盛岡大付は、それまでの2試合とは違う試合を繰り広げた。
初回から両チームが長打を放つハデな幕開け。その勢いのままにお互いが点を取り合う乱打戦は、9回表に盛岡大付の2番・菅原優輝のホームランによって決着した。
点を取っても取り返される展開ながら、諦めずに打ち続けた盛岡大付打線。東北人特有の粘り強さを見た気がする。
【盛岡大付 11対8 創志学園(岡山)】
盛岡大付の2戦目の相手は、プロ注目の右腕・高田萌生を擁する創志学園。この好投手を前に盛岡大付の関口清治監督が掲げたテーマは「15三振してもいいから10安打打つ」。
しかし試合は関口監督の思惑とは裏腹に、3回まででわずか1安打。逆に3回までに4点を取られてしまったことで、見ている者としてはさすがにジ・エンドかと思った。
しかしここでも長打がカギを握っていた。まず4回裏に3番・植田拓が逆転劇の火蓋を切るホームランを放つ。追い上げられた6回裏には、4番・塩谷洋樹が試合を決める一発をスタンドへ叩き込む。
4回から6回にかけて打った安打数は13本。まさに関口監督のプラン通りとなったわけだが、要所で飛び出した長打が、打線に最高のアクセントをつけたことは疑いようがない。
ちなみにこの試合で挙げた2ケタ得点は岩手県勢として初。県勢通算138試合目でのことだった。
【盛岡大付 9対11 鳴門(徳島)】
初回に先手を取りながら逆転を許すという、初戦の九州国際大付戦と似た展開。ただ何度も劣勢をはねのけてきた盛岡大付ナインだけに、筆者としては「何かやってくれるだろう」という期待感があった。
予想通りに同点に追いついた時は「行ける」と思ったが、もうひと押しが足りず終盤に決定的な失点。この時はさすがに「終わった」という気持ちでいっぱいに。
結果的には「確かに終わっていた」わけだが、9回裏はテレビに釘付けになった。前日に行われた東邦(愛知)の大逆転劇を再現するかのような波状攻撃で4点を奪い、2点差まで追い上げたからだ。
もう一イニング前にこの攻撃ができていたら……、という思いもあるが、「9回裏」という極限の舞台だからこそ、あの怒涛の反撃が生まれたと思う。
こうして盛岡大付の夏は幕を閉じた。