まずは武隈に次いで登板の多い、小石博孝を挙げたい。
2011年のドラフト2位で西武に入団した小石は、ルーキーイヤーに先発として初勝利を挙げるなど期待されていたが、なかなかチャンスを物にできず5年目のシーズンを迎えていた。
今季も春先は不安定なピッチングをしていたが、5月7日の日本ハム戦で炎上した郭俊麟の後を受けて登板すると、先発時代の杵柄で5回1/3を無失点に抑える力投を披露。
しかもその日本ハム戦は、3試合連続登板の3日目。ということから、ロングも連投も任せられる左腕としての地位を築いている。
続いては、今季で2年目となる佐野泰雄。タイ人の母を持つハーフであり、ひと目見ただけで忘れない濃い顔立ちが特徴だ。
ルーキーイヤーの昨季は2試合の登板にとどまったが、すでに今季は8試合に登板。6月3日の阪神戦では、大量リードを生かせなかったアンディ・バンヘッケンを救援すると、3回を1安打に抑えて試合を落ち着かせ、ご褒美のプロ初勝利をゲットした。
また6月11日の中日戦では、中継ぎでの活躍が評価され、初先発を任されることに。5回2失点でお役御免になったが、竜のエース・大野雄大を相手に堂々たるピッチングを展開した。
この試合を現地観戦したのだが、犠牲フライによる失点だけで、次回も期待したくなる内容だった。
2008年のドラフト1位で西武に入団した際は、「涌井秀章に続く逸材」と称されていた中崎雄太。しかし1軍登板は2013年に記録した7試合のみと、期待に応えられないまま時が過ぎていった。
不退転の決意で臨んだ今季、それを証明するかのようにサイドスローへと転向したところ、これが大当たり。新フォームのお披露目となった5月14日の日本ハム戦こそ2失点してしまったが、それ以降の5試合で無失点を続けている。
ちなみに新フォームは、一口にサイドスローとくくっていいのか悩む代物。気になる方は、ぜひともその目で確かめていただきたい。
かつては杉山賢人、橋本武広、土肥義弘といった中継ぎ左腕が、ブルペンに待機していた。それがいつしか「俺達」がはびこるようになったことで、すっかり様相が変わってしまった。
しかし今、西武の中継ぎは新時代に突入しようとしている。その中でも、特にポツポツと頭角を表している左腕が、その旗手になるはずだ。
昨季に引退した西口文也は怒るかもしれないが、これから中継ぎのがんばりによる勝ち試合が、増える予感がしてならない。
文=森田真悟(もりた・しんご)