週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

《野球太郎的2016年プロ野球MIP》大谷翔平はさておき…。大谷以外のMIP選手を挙げてみた!


 週刊野球太郎では「野球太郎的2016年プロ野球MVP&MIP」を2週に渡って連載。後編となる今回は「野球太郎的2016年プロ野球MIP(Most Impressive Player)」を選んでみた!

 MIPとは「Most Impressive Player」、つまり、最も印象に残った選手という意味。先週、本企画前編で「週刊野球太郎的MVP」に輝いた大谷翔平(日本ハム)のことを、「極めてMIPに近いMVP」とも述べた。ならば、大谷がMIPもW受賞ということでピッタリ当てはまるのだが……。

 だが、今季の大谷のすごさについては前編で存分に語ってしまったので、大谷のみをMIPとすると、この後編はそこで終わってしまう。そこで今回は、あえて大谷以外でMIPと呼んでふさわしい選手を何人か挙げていこう。

 『野球太郎』の持木秀仁編集長、カバディ西山、山本貴政と、週刊野球太郎ライター陣のニューカマー・山岸健人氏が2016シーズンを振り返りながら、「大谷以外のMIP」に選んだのはこの男たちだ!

交流戦で大爆発した城所龍磨、日本ハムのブルペンを支え続ける宮西尚生


西山:僕がMIPに挙げたいのは城所龍磨選手(ソフトバンク)と宮西尚生投手(日本ハム)です。「守備・走塁」の人というレッテルを貼られていた城所選手は、今季の交流戦では打撃でも活躍する大変身ぶり。その勢いのままMVPも獲得しました。

山岸:交流戦での打撃開花はすごかったですよね。

西山:もともと、2軍では打っていましたけど、1軍でも「瞬間的」ではありましたが、「ハマることがあるんだな」とビックリしました。

山岸:まさに「印象的」な活躍でした! では、宮西投手は?

西山:宮西投手は、昨年のオフにヒジのクリーニングといえども手術を受け、さらに右手の中指を骨折してしまいました。それでも、4月初旬から1軍に昇格。何事もなかったように、ルーキーの2008年から9年連続で50試合以上の登板を果たしました。

山岸:日本ハムのブルペンになくてはならない存在ですよね。

西山:はい。大谷選手が投打においてチームの中心ではあっても、宮西投手がセットアッパーとしてずっと奮闘し続けているのが、日本ハムの強みだと再認識できました。それと個人的なことですが、城所選手、宮西投手は自分と同級生なので、自分も頑張ろうと思えます。

山本:城所選手のブレイクぶりの一端でいえば、イチロー選手が「キドコロ待機中」と書かれたTシャツを着ていたことも話題になりましたね(笑)

山岸:宮西投手は大学時代後半の不調期を乗り越えてきた苦労人ですが、プロで花開いてよかったです!


毎年最多勝争いをしていてもおかしくない則本昂大


山岸:持木編集長が挙げる「大谷以外のMIP」は誰ですか?

持木:やや地味な印象がありますけど、則本昂大(楽天)をMIPに挙げたいです。

山岸:田中将大投手(ヤンキース)が去った後のチームを支え続けています。

持木:則本投手のルーキーイヤーの2013年こそ、楽天は日本一になりましたけど、どんどんチーム状況が悪くなっています。そのなかで則本投手は孤軍奮闘。3年連続で200奪三振、防御率もここ2年は2点台と結果を出し続けています。

山岸:立派なエースですが、なぜ地味に見えるのでしょう?

持木:なかなか勝ち星がつかないからでしょう。でも、最多勝争いをしてもおかしくない投手ですね。

山岸:打撃も守備もいいソフトバンクにいたら、毎年、最多勝争いに加わっていそうですね。

持木:そうですね。ただ、投手としては小柄な体格でこれだけ投げまくっているので、そこが心配でもあります。宮西投手にも言えることですが、パンクせずにプロ野球人生を全うしてほしです。

山岸:プロのスカウトは「プロでやっていくフィジカル」という面からも、大柄な選手を好みがちに見えますが。

持木:一般論としては、そういう傾向はありますね。なぜかと言うと、例えば、身長170センチで最速150キロの投手と身長190センチで最速150キロの投手がいたとします。現状、同じ「出力」で150キロを出しているのならば、体が大きい選手の方が、プロに入って鍛えればさらに球速が上がる可能性が大きいと考えるからです。

山岸:なるほど。

持木:そういう価値観があるなかで、則本投手は小柄ながらも上位指名されました。それを打ち破る魅力があったからです。実際、1年目から15勝を挙げ、今季まで4年連続2ケタ勝利。結果もしっかり残してきました。則本投手には「太く長く」頑張ってもらって、「小柄でもやれる!」といういい前例を作ってもらいたいですね。

覚醒の度合いが違う筒香


山岸:山本さんは?

山本:僕は筒香嘉智選手(DeNA)ですね。ものすごくわかりやすい形で「覚醒した!」という瞬間を見られたのでワクワクできました。「筒香に回せ!」みたいに盛り上がれる雰囲気も楽しいなと。あと、筒香選手のスイングと打球が速さは快感(笑)。「快楽」と言ってもいいやみつき感があります。

山岸:筒香はパワーヒッターでありながら3年連続で3割と高打率を残せるのもすごい。今季は首位打者こそ逃しましたけど、44本塁打、110打点で二冠。うまくいけば三冠王も夢ではないですよね。

山本:そうですね。WBCでは「プレッシャーがやや弱まる5番でいいのでは?」という意見もありますが、僕は「4番・筒香」でいいと思っています。

山岸:僕もその方がいいと思います。

山本:中田翔選手が4番に座る可能性が高いですが、筒香選手の方が「打った瞬間にいった!」という打球を想像しやすいというか。

山岸:筒香選手は2011年に頭角を現わしかけて、そこからちょっと沈んで、昨季から今季にかけて大ブレイク。そういうドラマがありますよね。

山本:「すごいものを持っているのに……」ともどかしくさせていた頃を思うと、感慨深いですね。野球漫画のようなブレイクぶり、覚醒ぶりを目の当たりにすることができました。ちょっと話が逸れますが、大田泰示選手も日本ハムで覚醒してほしいですね。

山岸:それ、期待したいです!

山本:大田選手は足も速いし、見ていて楽しい選手なのでなおさらです。

山岸:もちろん、ホームランバッターとしての覚醒が一番ですけど、盗塁もどんどん決めるようだと、さらに面白いです。「未完の大器」で終わってしまうのかと言われていた中田選手と筒香選手は、今や侍ジャパンの主軸に成長。大田選手だけ「未完の大器」で終わるのは寂しいですよね。


ワンシーンのMIPは日本シリーズのあのシーン


山本:「この瞬間!」というワンシーンを切り口にしたMIPも挙げていいですか?もっとも印象に残ったシーンを生み出した選手ということで。

山岸:どうぞ。「MIS(Most Impressive Scene)」ですね。

山本:日本ハムと広島の日本シリーズ第5戦の9回裏。日本ハムの岡大海選手が死球を受けて怒った直後に、西川遥輝選手がサヨナラ満塁ホームランを打った場面です。

一同:ああ(笑)

山本:「一喝から一発!」。流れるような決着がビューティフルでした(笑)。

山岸:ドラマですよね。日本シリーズとなると更に箔がつきますし。でも、岡選手ってあんなに死球で起こるタイプでしたっけ?

持木:切羽詰まった展開でしたからね。

山本:アドレナリン全開、というような岡選手の顔つきもサイコー。ビリビリきました(笑)。

西山:実は……。

山岸:何ですか?

西山:大学時代の岡選手が日米大学野球選手権に出場したときの話ですが、2勝2敗で迎えた第5戦、「これで勝ったら優勝」という今回と似たような展開で打席に立ったんです。その時にもデッドボールを当てられて、アメリカの投手に向けてヘルメットを投げ飛ばしたという……。

山岸:デジャブーのようですね(笑)。


神ってる鈴木誠也


山岸:僕のMIPは「神ってる」で流行語大賞にもなった鈴木誠也選手(広島)です。

山本:昨年も大きな期待をされていましたが、レギュラー奪取とまではいきませんでしたね。

山岸:今季はリーグ2位の打率.325、29本塁打、95打点と一気に飛躍し、チームの25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献しました。印象に残る選手だったのは間違いないです。

山本:そこで来季も今季同様、もしくは今季以上の活躍ができるか?

山岸:そうなんですよね。恐いのが、「いいのは今年だけ」という展開です。このまま筒香選手のようにスターダムに駆け上がってほしいです。トリプルスリーも狙えるタイプの選手ですし、山田哲人選手(ヤクルト)とのタイトル争いも楽しみです。


 今季、最も印象に残った選手となると、やはり大谷翔平となるが、他にも多くの選手が印象的な活躍を見せた。あなたにとっての今季のMIPは誰だろうか?本企画で、それぞれがMIPに挙げた選手の来季の活躍にも期待したい。


文=山岸健人(やまぎし・けんと)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方