「春井口」に代わって世代交代? 新たに「春男(ハルオ)」を襲名した野手が続々出現中!
「春に調子が良い打者は?」と聞かれたとき、コアなプロ野球ファンであればロッテの井口資仁を筆頭に何人か思い浮かぶはず。しかし今年に限っては、これまで春の代名詞とされてきた選手の元気があまりない。
そして「先輩は引っ込んでてくださいよ」とばかりに、新しい春選手が台頭してきている。では一体、どんな「春男(ハルオ)」が生まれたのだろうか。
「新・春の妖精」を襲名か?
現在、セ・リーグの3位につけている中日。開幕前の下馬評を覆す活躍を見せているが、その立役者の1人が高橋周平だ。
開幕当初は7番だったが、開幕戦の3安打猛打賞で波に乗り、平田良介の離脱に合わせて3番に昇格。3・4月の月間打率.276は、昨季の同時期の打率.273と比べると一見何も変わっていないようにも見えるが、中身が段違いなのである。
【安打】昨季18本→今季29本、【ホームラン】昨季0本→今季3本、【打点】昨季7点→今季13点という具合に、様々なスタッツが軒並みアップ。不動の4番であるダヤン・ビシエドへのつなぎ役としても、ポイントゲッターとしても機能するハイブリッドな3番打者に変貌した。
しかし、好事魔多し。4月の最終戦で、なんと骨折していたことが判明。全治2カ月。春の終わりとともにその姿を消すこととなった。また復帰後にバリバリと仕事をしてほしいが、このまま「妖精化」してしまわないか心配である。
どこまで1番を守り抜けるか
楽天の岡島豪郎が絶好調。3・4月の月間打率.338で盗塁5と、立派にリードオフマンの役割を果たしている。とはいえ、全てが順調だったわけではない。
開幕から1番ライトで出場し続けていたが、故障で一時離脱。ピーク時より打率が下がっていた中での出来事だったので、このまま例年のような成績に収束していくかと思いきや、再び調子を戻して上記の月間打率を残した。
ちなみに例年の成績だが、過去の同時期を振り返ると、2013年出場なし、2014年打率.263、昨季打率.165。年によって成績の落差が激しかったのだが、そこで得た経験を今季にしっかりとフィードバックできているようだ。
しかも復帰後に即スタメンということから、梨田昌孝監督の信頼を勝ち取っていることも伺える。それだけに「春男(ハルオ)」に留まらない活躍を見せてくれそうな予感が。
9月が楽しみすぎるロケットスタート
この選手を「春男(ハルオ)」のくくりに入れていいものか悩んだのだが、あえてヤクルトの山田哲人を紹介したい。昨季のトリプルスリー男でありセ・リーグのホームラン王が、今季、かつてないスタートダッシュを決めてみせたからだ。
打率.340、8本塁打本、17打点、7盗塁。昨季の打率.269、2本塁打、10打点、4盗塁という同時期の成績と比べると、まさに出色である。今季のここまでの成績を安仁屋算的に143試合換算すると、打率.340、39本塁打、83打点、35盗塁となり、わずかではあるが昨年を上回る数字でトリプルスリーを達成することに。
しかし「わずか」と言っても、昨季の成績はもはやレジェンドクラス。そんな異色のキャリアハイを更新する可能性があることに恐れ入る。
ただ昨季もそうだが、例年の山田は(山田的に)低空飛行な3・4月から、5月の気温上昇とともに一気に爆発する傾向にある。もし今年もその流れだったら、成績の上がり幅は「わずか」では済まない。
そこで来週以降に、「春男(ハルオ)」から「夏男(ナツオ)」につなげられているのかを検証しようと思うので、楽しみにしていてもらいたい。
サムサニマケズ、カフンニモマケズ
冒頭でも触れたが、今年は春男(ハルオ)戦線に異常が見られた。しかし長年「春男(ハルオ)」を張ってきた選手も、もういい年齢。そろそろ世代交代の時なのかもしれない。
選手としては年中活躍して話題を振りまきたいと思うだろうが、ファン目線では季節によって活躍度が異なる個性派がいることで、また盛り上がることができる。
その中でも寒暖の差が激しく花粉も飛び散っていることから、現地観戦に行くのがおっくうになりがちな春にファンを沸かせてくれる「春男(ハルオ)」は、とても貴重な存在だ。
文=森田真悟(もりた・しんご)
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