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地方大会選手速報レポート【東海】〜滝野要(大垣日大)、広敬太(名張桔梗丘)

滝野 要 たきの・かなめ


大垣日大 3年
外野手・右投左打・183センチ72キロ

「即プロ」は望み薄も、アグレッシブに進化

 東海3県(愛知・岐阜・三重)でこの夏、野手の中でプロ球団スカウトが気にかけた唯一の存在が滝野だ。“即プロへ”という評価を得るまでには至らなかったが、中心選手としてチームの2年連続岐阜大会制覇に貢献し、再び甲子園の土を踏む。

 攻撃面ではスイングのヘッドスピードや勢いが増した。特にセンターから右方向への痛烈な打球が目立った。また脚力への自信も深まったようで、決勝戦では相手捕手のスローイング動作が大きかったこともあり4盗塁をマーク。「春の大会が終わってから、(夏の大会の)準決勝や決勝で勝つために三盗の練習をしていた」と、盗塁技術に磨きがかかった。

 投手を経験したことで、野球の幅も広がったように見える。中学時代は投手だったが、高校入学後はバット一本で勝負。チーム事情により今年の5月から再びマウンドに立った。初戦で8回2/3を6被安打8奪三振でまとめるなど順応性の高さを証明。投手としてみた時は“ドラフト的魅力”とは無縁で、大会終盤は登板もなかったが、決勝戦後の取材では「投げたかった気持ちはあります。甲子園でも機会があれば」と冗談めかしつつ聖地のマウンドを見据えていた。

広 敬太 ひろ・けいた

名張桔梗丘 3年
投手・右投右打・182センチ66キロ

正真正銘の「隠し玉」にプロ5球団!

 まったく無名の「ドラフト候補」が三重県にいた。普段「隠し玉」という言葉を使って選手を紹介することは度々あるが、これぞ本当の「隠し玉」。なぜなら、初戦に集まったプロ5球団のスカウト(楽天、日本ハム、広島、ソフトバンク、西武)の多くが、身長182センチの140キロ右腕を“初見”だった。スカウトは通常この時期、3年生候補は最終の“見極め”に入っている段階だから、いかに急浮上してきたかがわかる。

 身長があり、体をタテに柔らかく使えるのが良い。やや上体が突っ込むが、前までリリースを引っ張ってきてボールを発射。楽天スカウトのスピードガンで142キロをマークした。一方、課題はコントロール。ブルペンから球がバラつき、安定して試合をつくれる域にはまだ達していない。

 それでも素材の良さは◎。スタンドには関西を本拠地とする強豪社会人チームの監督の姿もあった。伸びしろは十分あるだけに、この先どう変わるか。

 8回表途中から登板した広は9回表に同点を許すと、延長11回表に2失点して惜敗。広の投球を見ていない東海地区担当スカウトも少なくなく、「隠し玉」が3イニング2/3だけ表舞台に立ち、夏を終えた。


大笘 創平 おおとま・そうへい
桜丘 3年
投手・右投右打・180センチ82キロ
◎強打者として注目していたが、投手としても力強い速球

森 奎真 もり・けいま
豊橋工 2年
投手・右投右打・182センチ74キロ
◎余力を残して130キロ台後半。春も夏も東邦を苦しめた

藤嶋 健人 ふじしま・けんと
東邦 1年
投手・右投右打・175センチ78キロ
◎140キロ台・11奪三振の完投でセンバツ4強・豊川撃破

湯口 郁実 ゆぐち・いくみ
大垣日大 1年
遊撃手・右投左打・167センチ65キロ
◎軽快な守備で1年生ながら内野陣を引き締めた。巧打も

土居 竜丸 どい・たつまる
岐阜各務野 3年
捕手・右投右打・176センチ74キロ
◎抜群の守備ワークで一部プロ球団からは育成枠の誘いも

川崎 翔太 かわさき・しょうた
岐阜城北  3年
外野手・右投右打・178センチ75キロ
◎チームが勝ち進めない中、俊足強打はず抜けて目立った

高橋 純平 たかはし・じゅんぺい
県岐阜商 2年
投手・右投右打・182センチ76キロ
◎日本ハム・熊崎スカウト「伊藤準規(中)以上」。順調だ

桂川 涼 かつらがわ・りょう
中京 3年
外野手・右投右打・176センチ75キロ
◎50メートル走6秒1の身体能力と打席でのスケール感で評判が急上昇

山田 大樹 やまだ・ひろき
菰野 2年
投手・右投左打・174センチ76キロ
◎130キロ台の重い直球に詰まる。いなべ総合学園を完封

西岡 武蔵 にしおか・むさし
三重 3年
一塁手・右投右打・178センチ78キロ
◎準決勝で軽々と通算25弾目。一段と振れるようになった

内田 蓮 うちだ・れん
三重 3年
三塁手・右投左打・178センチ74キロ
◎筋力がついて、打席での雰囲気が俄然アップ。2番から6番へ


■ライタープロフィール
尾関雄一朗(おぜき・ゆういちろう)/1984年生まれ、岐阜県出身。年間のアマチュア野球観戦試合数は120を超える。数々の野球部を訪れ、ひたむきな球児や情熱的な指導者、工夫した練習法などを取材。ここ数年のうちで東海地区からプロ入りした選手はほぼアマチュア時代から追いかけており、中日で活躍する濱田達郎(愛工大名電高出身)や、西武の高橋朋己(西濃運輸出身)らも取材した。無名の好選手を“発掘”するのも得意で、評判の選手がいると聞けば練習試合まで駆けつける。野球場に足を運ぶこと自体の楽しさにも魅了され、学生時代を含めれば10年以上、球場通いを続けてきた。高校野球の地方大会は特に多くのドラマを見てきた部分。今年の夏に思いを馳せる。現在、中日新聞のwebサイトで「達人に訊け! 高校野球地方大会へ行こう!」という連載をしている。

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