甲子園大会期間中、全試合をバックネット裏最前列で観戦し続けるラガーさん。今大会もいよいよ準決勝と決勝戦を残すのみ。ということは、ラガーさんの夏もあと3試合で終わってしまうということだ。
そこで少し気が早いが、今大会、ラガーさん的に気になった傾向を聞いてみた。定点観測し続けるラガーさんだから気がついた“高校野球の今”がここにあります。
※今回は、大会10日目(8/17)までの情報になります。
「今大会は、ホームランがよく出るよね」
開口一番、そう答えてくれたラガーさん。実際、大会10日目までに31本のホームランが放たれ、大会序盤は過去最高ペースとも言われていた。一部で「高校野球でも飛ぶボール?」といった声も聞こえたが、コレに関しては前回の「高校野球ジャーナル」で、審査に基づいた規定球が使用されていることを紹介した通り。
「ラガーさんのいるバックネット裏からだと、ホームランかどうかって結構すぐわかるんだよ。でも、今大会では『届かないだろうな』と思った打球がフラフラ〜ッとレフトポール際に吸い込まれることがすごく多いんだよ」
ラガーさんは象徴的なホームランとして、今大会第1号となった大阪桐蔭の森友哉選手の打球を例に挙げた。
「もちろん森君なんかは、バットスイングもスゴいんだけど、何でだろうねぇ。不思議だなぁ。テレビでは実況アナウンサーが『浜風に乗って』って言っているらしいんだけど、ラガーさんの体感では、今年は浜風がそんなに吹いてないんだよ」
ちなみに今大会は風が弱いせいで暑さが厳しいんだとか。「浜風」が影響するのはバッターだけではなかった。
本塁打、という大技の次に今大会の傾向としてラガーさんが挙げたのは「細かいプレー」に関して。
「今大会は、送りバントやスクイズを失敗する場面が多いよね。大会序盤の愛工大名電のトリプルプレーも、相手のバント失敗から生まれたプレーだもんね」
そしてミスが多いのはバントだけではない。
「今大会は走塁ミスも多いと思うよ。投手が上手いのかもしれないけど、牽制アウトも多い気がするね。夏の大会は、細かい連携も仕上げてくるチームが普通は多いんだけど、珍しいね。初出場チームや久しぶりのチームが多いからかな」
ミスが多い理由にまで分析が進んでいたラガーさん。実際、大会が進むにつれ徐々にミスは少なくなり、ロースコアゲームも多くなった。
「選手も慣れてきたからか、序盤に目立っていたエラーやミスも減って、プレーの精度が上がってきたね。どの試合も最後まで展開が読めなくてスリルがあるよ! これぞ甲子園だね」
ラガーさん、どちらかというと打撃戦よりも、点差の少ないディフェンシブな試合の方が好きらしい。なんでもワンサイドゲームになると、どうしてもウトウトと……試合観戦も楽じゃなかった。
実は大会前、ラガーさんに今大会の注目点を聞いていたのだが、その中のひとつに「2年生」というキーワードがあった。キャプテン以外スタメン全員が2年生の横浜。9連続三振を記録した前橋育英の高橋光成投手など、確かに2年生の活躍が目立つ。さすがラガーさんの視点は鋭かった。その中でも、特にラガーさんが気になった選手を挙げてもらった。
「もちろん、前橋育英の高橋光成投手なんかは誰が見てもすごいし、明徳義塾の岸投手(潤一郎)も、あの大阪桐蔭相手にたんたんと投げていて驚いたね。でも、ラガーさんが個人的に気になったのは、鳥取城北の田中選手(涼太)。スリーベースヒットも良かったけど、守備も光ってたね。レフトの打球もライトの打球も一人で掴み取っちゃうくらい、スタートダッシュが良かったよ」