今季2年目を迎えた山崎は入団当初、先発の即戦力として期待されていた。しかし、オープン戦で結果を残せず、先発から外れることに。ただ「短いイニングだといい球を投げる」と首脳陣が判断し、抑えに回ることになった。
昨季のホーム開幕戦となった広島戦で山崎は初登板。当時の中畑清監督は、1点リードで迎えた9回表のマウンドに山崎を抑えとして送り出した。デビュー戦で見事に結果を残した山崎は、その後もセーブポイントを積み重ね、新人王まで手に入れた。「先発失格」がクローザー・山崎の誕生につながったというわけだ。
山崎の最大の武器はツーシーム。黒田博樹(広島)や菅野智之(巨人)が操るツーシームは打者のバットの芯を外し、ゴロを打たせるのが特徴だが、山崎のツーシームは空振りを奪う。その軌道はフォークボールのように鋭く落ちる。
山崎自身は打者のヒザ元の高さをめがけて投げるのではなく、ベース板の奥の角に落ちるように意識して投げているという。フォークに近い軌道のツーシームだから、強打者たちから三振を奪えているのだ。
球の軌道を見た解説者やOBにも「フォークではないか?」と聞かれても、山崎は頑なに「ツーシーム」と答えている。何故なら、亜細亜大時代、先輩・東浜巨(ソフトバンク)に教えてもらったツーシームを進化しさせたのが、この球だからだ。
◎2年目のマウンドでは余裕を持っている?
先日、横浜スタジアムでオールスターゲーム第2戦が行われた。9回に山崎の登場曲がかかった瞬間、球場全体に“ヤスアキジャンプ”が起こり、大きな「ヤスアキコール」が沸き起こった。セ・リーグファンもパ・リーグファンも関係なく、球場全体が山崎の登場を楽しんでいた。
試合前に「セ・パ両方のファンの皆さんのジャンプが見たい」と語っていた山崎の思いはファンに届いていたのだ。
この日、バッテリーを組んだのは帝京高時代のチームメート・原口文仁(阪神)。気心知れた間柄もあってか、初球からナックルボールを投げる遊び心も見せた。これは2年目の余裕だろうか。
1998年に横浜ベイスターズが優勝した時は、クローザーに「ハマの大魔神」こと佐々木主浩が君臨していた。今季、DeNAはAクラス入りを果たし、念願のCSに出場することができるのか。そのカギは山崎のツーシームが握っている。
文=勝田 聡(かつた さとし)
松坂世代のひとつ上にあたりサッカーの黄金世代となる1979年生まれ東京育ち。プロ野球、MLB、女子プロ野球、独立リーグと幅広く野球を観戦。 様々な野球を年間約50試合現地観戦し写真を撮影する。プロ野球12球団のファンクラブ全てに入会してみたり、発売されている選手名鑑を全て購入してみたりと幅広く活動中。