阪神待望の強力助っ人は、どうやら本物のようだ。ドミニカ共和国出身、29歳のロサリオである。2011年から2015年にかけてロッキーズ(MLB)で71本塁打、2016年から2017年はハンファ(韓国)で2シーズンとも3割、30本、100打点超えをクリア。そのパンチ力を買われて、年俸3億4000万円+出来高で阪神入団となった。
2月7日の紅白戦では2安打、11日のDeNAとの練習試合では左中間への一発を含む2安打、12日の紅白戦でも左中間スタンドへ放り込み、16日の楽天との練習試合では外角球を逆らわず右中間スタンドへ。キャンプ序盤の実戦形式の4試合は、8打数6安打、3本塁打、6打点といきなりの大爆発だ。
しかも、走塁でも相手守備がわずかにもたついたところを見逃さず次の塁を狙うなど、随所に積極さを見せた。走塁は、その選手の野球に取り組む姿勢が出やすいだけに、これは好感が持てる。
オープン戦では相手投手のレベルも上がり、さすがに数字は落ちるだろうが、どこまでの結果を残せるか。開幕に向けて、阪神ファンの期待も上がりに上がっているに違いない。
中日では、2016年ドラフト1位の柳裕也がレベルアップした姿を見せてくれそうだ。昨季は即戦力として期待されながら11試合で1勝4敗、防御率4.47。故障も重なって、チームに貢献できなかった。
しかし、今季は違う。自主トレからキャンプと充実したトレーニングを消化しており、2月17日の巨人との練習試合でも、3イニングを2安打無失点に抑えた。
巨人戦では緩急を使ったピッチングが光った。学生時代から定評のあった縦に大きく割れるカーブに加え、チェンジアップも自分のものにしつつある。初球からスローカーブを投じて打者を翻弄するような組み立てがうまくハマるようだと、昨季のようなことはなさそうだ
また、横浜高出身の柳にとって、松坂大輔の中日入団もこれ以上ない発奮材料だろう。多くの経験を積んだ先輩と身近に接することで、心技体、すべてにおいて得るものは少なくないはずだ。
熾烈な内野のポジション争いが繰り広げられている巨人では、ルーキーの田中俊太、2年目の吉川尚輝が輝きを増している。
田中俊は、広島の田中広輔の弟で、兄と同じ東海大相模高、東海大出身。日立製作所を経て、昨秋のドラフト5位入団。兄同様に俊足で、守備も堅実。また、左右に逆らわずに打ち分けるバットコントロールも持ち合わせている。
一方の吉川尚は、ドラ1の即戦力とで期待された昨季は、わずか5試合の出場にとどまった。捲土重来を期す今季は、キャンプから練習試合、紅白戦と覇気のある動きを見せている。
2月17日に行われた中日との練習試合では、田中俊が2安打1打点、吉川尚が3安打1盗塁と、両者が猛アピール。
田中俊の本職は二塁手、吉川尚は遊撃手。当面の空きポジションである二塁に慣れているのは田中俊だが、先述の中日との練習試合では吉川尚が二塁でフル出場し、田中俊は三塁に就いた。首脳陣は、この2人を中心にまだまだ競わせていく意向なのだろう。
オープン戦での両選手のパフォーマンスは、巨人ファンならずとも必見だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)