東東京の有望選手、大会展望
7月5日〜29日(神宮球場ほか)
強豪集う東東京で好右腕たちが躍動する
粒揃いの遊撃勢に二松学舎・秦の豪快弾
投手編
▲清水昇(帝京)
右の正統派が多数揃う
今年は右に正統派の好投手が多い印象の東東京。清水昇(帝京)は、ストレートや横に滑るスライダーなどの変化球を低めに集める落ち着いた投球が光る。ただ落ち着きすぎて迫力に欠ける面もあり、前田三夫監督は「もう少し力強い球が必要」と話す。高い期待に応えられるか、注目していきたい。
力強さなら、羽毛田晶啓(関東一)のストレートを挙げたい。センバツでは最速140キロを記録。ただ、一番力が乗った時のボールがベルト付近の高さになりがちで、球数とともに球威が落ちると痛打を許すのが課題。低めに配すようになれば角度もついて、今以上に手がつけられなくなる。
また、昨夏より活躍中の鈴木優(雪谷)は最速145キロ、21世紀枠で出場したセンバツでは打ち込まれたが伊藤優輔(小山台)は最速143キロと、都立の2人もストレートには力があり、ドラフト候補として注目が集まる。
186センチ85キロの上島迅翔(修徳)、180センチ75キロの嶋田篤(安田学園)も見逃せない。ともに粗削りだが、上背&球威のある原石タイプだ。
“原石”といえば、現在、BCリーグでプレーしているラミレス(群馬)の甥で、ベネズエラからの留学生であるラミレス・コリーナ・ヨンデル・アレキサンダー(日体荏原)も189センチ92キロの右投左打と、申し分ない体格だ。外国人独特の狭いスタンスから最速139キロのストレートを誇る。この夏、一度見ておきたい素材だろう。
一方、低めへの制球や緩急の巧さで昨夏から活躍している鎌田光(東京実)は、好投手だがまだ線は細い。完成度が高いだけに将来、体が上積みされた姿が楽しみだ。
左腕には球威のある本格派は少ないが、甲子園を経験した桜井政利(修徳)や2年生の阿部武士(関東一)は好投手。また、今春の都大会を制し関東大会でも活躍した木寺凌世(成立学園)には、小柄ながら回を追うごとに調子を上げてくるタフさがある。
打者編
▲岩成亮(成立学園)
巨漢・秦匠太朗に注目
一番の注目は巨漢・秦匠太朗(二松学舎大付)。太い腕、太い下半身から生み出される打球は、ピンポン球のように飛んでいく。右方向への意識も高まり、昨秋の都大会準決勝での満塁弾は、三輪昂平(日大三)の低めのストレートをライトポール際へ放ったものだ。課題は内角を厳しく攻められた時で、将来を見据えれば守備走塁も高めておきたいが、希少な右の大砲だけに魅力は十分だ。
捕手では強肩強打の池田瞳夢(関東一)。振りすぎの感はあるが、その思い切りも魅力のうちだ。
内野は遊撃に好選手が集中する。安竹聡司(帝京)はバリエーション豊富な力強いスイングが特徴。竹原祐太(二松学舎大付)は安打製造機。身体能力の高い岩成亮(成立学園)は昨秋まで満足いく活躍ができなかった。しかし、この春打順が3番から1番になって力を発揮し始めた。
この他、俊足としつこさが売りの熊井智啓(関東一)、身体能力抜群の清原淳(東海大高輪台)、バットの芯を外してもレフトポール際に打球を運ぶ2年生の中道大波(帝京)にも注目したい。
大会展望
関東一、二松学舎大付、帝京の三つ巴
今年の東東京の優勝戦線は、センバツ出場の試合巧者・関東一と、昨秋準優勝で打線充実の二松学舎大付、一冬越えて例年通り上積みしてきた帝京による三つ巴が予想される。今春都大会Vの成立学園は控え投手の成長次第か。暑さとの戦いでもある夏は選手層も重要。その意味では、昨夏優勝の修徳や日体荏原などもあなどりがたい。突出したエースがカギを握る東京実や安田学園、小山台、雪谷などはノーガードの打ち合いが多い大会終盤での立ち回り次第だろう。
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