大卒ドラ1のルーキーながらなかなか結果を出せなかった多和田真三郎が、8月11日の日本ハム戦で初完封勝利を達成。しかも12球団の新人投手で一番乗りというオマケ付きだった。
一時は田邊監督に「背番号18なのに」と苦言を呈されていたが、面目躍如のピッチング。ちなみに18日のソフトバンク戦では6回3失点だったが、リリーフ陣の助けもあり自身初の連勝を達成。
多和田が完封した翌日、12日のオリックス戦で実に2カ月ぶりの連勝を達成。6月9日の巨人戦、6月10日の中日戦を最後に、連敗はするものの2連勝すらできなかった。
その後は13日に負けてしまったが14日から20日にかけて5連勝。これは今季2度目の大型連勝だった。
8月16日のソフトバンク戦では、岸孝之が通算100勝のメモリアル白星を挙げた。西武の投手では松坂大輔、郭泰源、西口文也に続く4位でのスピード達成。
またこの日は、14日に亡くなったライオンズの偉大なるOB・豊田泰光氏をしのび、喪章を付けて臨んだ負けられない戦いだった。
しかし対するソフトバンクの先発は、西武戦無敗のキラー・武田翔太。絶体絶命というシチュエーションだったが、打線の奮起で武田を6回5得点KO。
岸の記念勝利と武田の西武戦初黒星。両チームにとってメモリアルな出来事が、西鉄の本拠地だった福岡で起こった。因縁めいたものを感じるのは、筆者だけだろうか。
「ついにブレイクか!?」と思うほどに、山川穂高が打ちまくっている。
8月19日のロッテ戦でプロ入り初の2打席連続ホームランを放って「初おかわり」を達成すると、8月21日のロッテ戦でも2打席連続弾で2度目のおかわり。
同じ富士大出身の後輩である多和田に負けられないと思ったのかどうかはわからないが、ノッてきたのは間違いないだろう。
ここまで力を出し切れなかった自分の気持ちとともに、ファンの気持ちも満たしてほしい。
今年の8月は甲子園にリオ五輪が重なったことで、日本ハムの驚異的な追い上げですらスポーツ新聞の扱いは小さい。そのため下位の西武の記事は探すのも一苦労だ。
しかしうまい具合に陰に隠れて助走をつけられたともいえる。自力でのCS出場の芽はもうないが、今の勢いを残り試合にぶつけてほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)