離脱した大谷翔平(日本ハム)に代わり、の侍ジャパンのエースを全うした菅野智之(巨人)。準決勝のアメリカ戦ではメジャー打線を完全に封じ込める好投を見せた。
通常ならば開幕投手を務めるところだが、今シーズンはWBCでの疲労を考慮して、開幕戦を回避。2カード目のDeNA戦の初戦で登板し、7回1失点の好投で今季初勝利。続く広島戦こそ6回途中5失点と打ち込まれてしまったが、その後は、3戦連続完封勝利をマーク。絶好調を維持している。
対照的なのが石川歩(ロッテ)と武田翔太(ソフトバンク)だ。石川は菅野同様に2カード目の頭に先発し、5回2失点(自責点1)ながら敗戦投手に。その後も勝ち星はつかず、3連敗で登録抹消。5月末からの交流戦で1軍復帰を目指し調整中だ。
武田は初登板で5回3失点。勝ち星こそついたものの、2戦目は6回途中4失点でKO。右肩の故障で登録を抹消された。
則本昂大(楽天)、千賀滉大(ソフトバンク)、藤浪晋太郎(阪神)は先発の役割を果たしている。則本は3試合連続2ケタ奪三振をマークするなど好調で、3勝1敗。千賀は初戦こそ打ち込まれたが、その後3戦連続で8回を投げるなど調子を取り戻した。藤浪は一時、インフルエンザで離脱したものの復帰後に白星をマークした。
■WBC出場先発投手の成績(5月7日まで)
千賀滉大(ソフトバンク)
5試合/4勝1敗/投球回34/奪三振42/与四死球10/防御率3.71
武田翔太(ソフトバンク)
2試合/1勝1敗/投球回10.2/奪三振5/与四死球5/防御率5.91
石川歩(ロッテ)
3試合/0勝3敗/投球回13/奪三振13/与四死球9/防御率7.62
則本昂大(楽天)
5試合/3勝1敗/投球回34/奪三振44/与四死球11/防御率3.44
菅野智之(巨人)
5試合/4勝0敗/投球回39.2/奪三振37/与四死球8/防御率1.36
藤浪晋太郎(阪神)
4試合/3勝1敗/投球回25.1/奪三振11/与四死球22/防御率1.78
中継ぎ投手陣は明暗が分かれている。絶好調をキープしているのは松井裕樹(楽天)、牧田和久(西武)、秋吉亮(ヤクルト)。
特に松井は神がかり的な投球を見せている。初失点を喫したのは、なんと4月29日の日本ハム戦。開幕から約1カ月もの間、得点を許さなかった。2015年に記録した33セーブ、防御率0.87の更新に期待が掛かる。また、牧田は10試合に登板して防御率0.00。完璧なピッチングを見せている。秋吉も3年連続70試合登板という偉業を達成できそうな滑り出しだ。
一方、岡田俊哉(中日)は開幕から調子が上がらず、わずか4試合で登録抹消。5月に1軍に復帰後は、3試合に投げて無失点。ようやく復調気配を見せてきた。宮西尚生(日本ハム)は9試合に登板して防御率7.04。2試合連続で2失点を喫するなどピリッとしない。平野佳寿(オリックス)も2敗を喫するなど本来の力からすると今ひとつ。苦しい投球が続いている。
昨季、途中から先発を務めた増井浩俊(日本ハム)は、今季はセットアッパーとして開幕を迎え、徐々に調子を上げてきた。離脱したマーティンに代わるクローザーとしての期待が掛かる。
■WBC出場中継ぎ投手の成績(5月7日まで)
増井浩俊(日本ハム)
12試合/3勝1敗/4セーブ/2ホールド/投球回13/奪三振19/与四死球1/防御率2.08
牧田和久(西武)
9試合/0勝0敗5H/10.1甲斐/奪三振7/与四死球0/防御率0.00
宮西尚生(日本ハム)
9試合/0勝1敗/6ホールド/投球回7.2/奪三振6/与四死球4/防御率7.04
岡田俊哉(中日)
7試合/0勝1敗/2ホールド/投球回5/奪三振3/与四死球1/防御率3.60
秋吉亮(ヤクルト)
13試合/3勝1敗/5セーブ/1ホールド/投球回13.1/奪三振9/与四死球2/防御率1.35
平野佳寿(オリックス)
14試合/1勝2敗/8セーブ/2ホールド/投球回14.1/奪三振11/与四死球4/防御率3.14
松井裕樹(楽天)
19試合/2勝1敗/13セーブ/2ホールド/投球回20/奪三振23/与四死球9/防御率0.45
(成績は5月7日現在)
文=勝田 聡(かつたさとし)