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ドイツから現地レポート! サッカーに限らずスポーツ大国ドイツのなかで「野球」の立場は?

 スポーツ大国と聞いて、アメリカの次に思い浮かぶのがドイツだ。

 筆者は現在、ウインタースポーツを追いかけて欧州の雪山を転々とする日々。なかでもドイツを訪れる度に、この国のスポーツ熱の高さには驚かされる。

 国民的スポーツのサッカーに限らず、F1、テニス、競泳、スキーなどなど、あらゆる競技でドイツが世界の頂点を極めているのは、みなさんご存じだろう。


いまいちパッとしない野球?


 ドイツは日祝日になると店も休みで、娯楽が極端に少ない。そのせいもあるのか、スポーツの試合をやれば(ほぼ)どんな種目でも、観客がびっしりと埋まる。ドイツ国民はスポーツ観戦大好き民族なのだ。

 そんなドイツで、いまいちパッとしないのが、われらが野球だ。

 ドイツに野球が入ってきたのは、日本より遅れること約70年、第二次世界大戦後のこと。駐留米軍によってもたらされた。ただ、日本のようには普及せず、ドイツ人のほとんどは悲しいほどの野球オンチのまま。ドイツ人に限ったことではないかもしれないが、「えっ?野球?」というのが、彼らのお決まりの反応で、スポーツ専門記者たちの野球知識のなさにも驚くばかり。


ドイツの野球関係者を直撃!


 取材に応じてくれたドイツの野球関係者いわく「ドイツで野球のルールを正確に知っている人は、ほとんどいない」とは、なかなか切ない話だ。

 「バスケットボールとカン違いされたり、ボールがラグビーのような楕円形と思い込まれていたりする」と言うから、ルールまでたどり着いてさえいない。

 野球の国内リーグも1984年創設と歴史は浅い。サッカーと同じく「ブンデスリーガ」で、1部と2部は、各8チームを基本とした2リーグ制(北部・南部)。


 残念ながらプロではないため、試合は週末を中心にダブルヘッダーも組み込んで消化。“キャッチャーかショートのいずれかは、EU国籍の選手でなければいけない”や、”ダブルヘッダーの第1試合の投手はEU国籍選手限定”といった、謎のローカルルールも存在している。

   また選手層の薄さから、ポジションの概念も実にアバウト。例えば本職は内野手ながら、捕手にも挑戦中!なんていうのも当たり前。遊撃手がプレーオフではマウンドで大活躍という高度なやり繰りで、国内リーグ優勝を勝ち取ったクラブもある。

 投手と野手をこなすワンマンプレーヤーもいれば、投手、捕手、内野、外野のサイクル守備を達成している選手もいて、二刀流どころか三刀流、四刀流がひしめき合う世界だ。


ドイツ野球の未来は?


 ドイツの世界野球ランキングは現在18位。まだまだオランダ、イタリアの欧州2大勢力とは差があるものの、国内の育成環境も少しずつ整備されつつあるのも事実。野球教育アカデミーを設立するなど、育成にも力を入れ始めており、自国開催の2010年欧州選手権では3位と大健闘した。

 ドイツ・オリンピック委員会の専門員も務めるクラブ関係者は「個人競技であり団体競技。子どもの教育としても理想的」と、野球ならではの魅力をプッシュして普及に取り組む。2013年にはドイツ人初のメジャーデビューを果たした選手が出たことで、メディアからの関心も地味にアップと追い風も吹く。

「投げたり打ったり、ボールを取ったり。野球は色んなことができて楽しい!」と、メジャーリーガーを夢見る野球少年に聞くと、野球をやっていることに友達からは「クール!」と言われるそう。身近でないだけに、オシャレ競技的な立ち位置にあるようで、今後の伸びしろにも淡い期待が抱けそうだ。

 スポーツに熱いドイツ人が本気を出せば、ヨーロッパ野球の頂点に立つのも、それほど遠い話ではないかもしれない。


文=小林幸帆(こばやし・さほ)

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