プロ野球開幕から約1カ月。今年はセ・パともに上位候補と目されていたチームが波に乗れないこともあり、飛び抜けるチームがまだ出てきていない印象だ。セ・リーグでは特に中日が軒並み低調だった前評判を覆し、好調をキープ。開幕こそ3連敗スタートとなったが、新スラッガー・福田永将を筆頭に選手たちが躍動して巻き返しに成功。4月21日の試合終了時でヤクルトと並んで首位となり、セ・リーグの混戦模様を演出している。
しかし、この中日の好調に一喜一憂しているのはプロ野球界だけではなかったのだ!?
プロ野球にまつわるジンクスとして有名なのが、「中日がリーグ優勝すると政変が起きる」というもの。実際、これまで9回のリーグ優勝のうち、8回に及んで優勝した年から翌年にかけて政変が起きている。過去の中日のリーグ優勝を振り返ると以下の通りだ。
1954年 中日優勝 → 吉田茂内閣総辞職
1974年 中日優勝 → 田中角栄内閣総辞職(金脈問題)
1982年 中日優勝 → 中曽根康弘内閣発足+衆議院総選挙で自民党大敗
1988年 中日優勝 → 竹下登内閣総辞職(リクルート事件)
1999年 中日優勝 → 小渕恵三首相急逝
★2004年 中日優勝 → 特になし
2006年 中日優勝 → 参議院選挙で自民党歴史的大敗+安倍晋三内閣総辞職
2010年 中日優勝 → 菅直人内閣総辞職
2011年 中日優勝 → 衆議院解散で自民党圧勝+野田佳彦内閣総辞職
小泉純一郎首相が長期政権を築いた2004年を除いては、なんとなんとの大政変。
現在の安倍首相も過去には2006年の中日優勝の余波(?)を被っており、中日の好調が続けばジンクスに敏感な永田町がにわかに騒がしくなってくることは必至。安倍首相もファンであることを明言しているヤクルトの応援に一層と力が入るに違いない!?
政界だけではなく、経済界にもプロ野球にまつわるジンクスが存在する。「巨人が優勝する年は株価が大暴落する〈ブラックマンデー〉が訪れる」というジンクスだ。巨人は優勝回数も多く、一見すると眉唾モノの都市伝説とも思えるが、実際に日別の日経平均株価下落率のワースト15までが巨人の優勝年に発生しており、「気のせい」と切り捨てるわけにもいかない怪現象となっている。
そのため、オカルト派のトレーダーを中心に「巨人が好調な年は気を引き締めろ」という合言葉が生まれており、プロ野球の結果に密かに気を配っているという。
プロ野球と政治経済のジンクスは悪いものだけではない。その代表が「阪神が優勝すると景気がよくなる」というもの。特に2リーグ制以降の阪神優勝年は景気の転換期になっており、意外な相関関係がありそうだ。
1962、64年 阪神優勝 → オリンピック景気
1985年 阪神優勝 → バブル景気
2003、05年 阪神優勝 → いざなみ景気(第14循環)
ただ、このジンクスに関しては「巨人のV9時には高度経済成長が重なっている」など反論も多い。しかし、病は気から、逆もまたしかりといった考えで阪神ファンを中心に信奉者を集めている。
その他にも「阪神(中日)が優勝すると大災害が起きる」など、市井では脈々と怪しいジンクスが語り継がれている。
混戦が続きそうな今年のセ・リーグ。その勝敗に日本の未来が動かされるのかも知れない!?
(文=落合初春)