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『プロ野球呪いのハンドブック』の歩き方〜ソフトバンク・中日編

 発売直後から業界騒然の『別冊野球太郎2014球春号〜プロ野球呪いのハンドブック』(発行・イマジニア株式会社ナックルボールスタジアム/発売・廣済堂出版)。この本を参考に、12球団別の呪いポイントと、その解消ポイントを考察していくこのコーナー。今週は昨季、Aクラス入り、クライマックスシリーズを逃した4位の福岡ソフトバンクホークスと中日ドラゴンズについてみていこう。

△2013年パ・リーグ4位:ソフトバンクの応援ポイント▽

応援ポイントその1

4番打者求ム!

 総得点はリーグトップの660点をマークしながら、昨季4位に終わったソフトバンク。首位打者の長谷川勇也のほか、内川聖一、松田宣浩といった強力打線も、本当に頼りになる4番打者を固定できなかったことが痛かった。

 昨季は合計5人が4番を打ったなか、4番最多打数の松田は打率.267、13本塁打とチームを牽引したという結果は残せず。助っ人・ラヘアは2割前半の低打率で本塁打はわずか5本。最終的に、大事なシーズン終盤は消去法で内川を置かざるを得ない状況だった。

 理想は全盛期の松中信彦や、かつてのチームリーダー・小久保裕紀のような精神的支柱となる和製大砲が4番にドッシリと座る状況が好ましい。上位進出するには「この試合は落とせない」というゲームも出てくるはず。そういった試合で勝負を決めてくれる本当に頼りになる4番打者がいるといないのでは大違いだ。今シーズン新加入した李大浩が、シーズン通じて4番打者を務めることができるか、そこにまずは注目だ。


▲李大浩


応援ポイントその2

新人王絶対本命に熱視線を!

 思い起こせば昨季の開幕前。ソフトバンクの先発陣は「先発ローテ候補が多すぎて、選ぶのに苦労する」と、嬉しい悲鳴を上げていた。しかしフタを開けてみれば、2年目のジンクスに苦しんだ武田翔大、病気で戦線離脱した大隣憲司など、予想を裏切る結果となってしまった。穴は先発投手ということでスタンリッジやウルフなどを補強したが……。不安になる気持ちもわかる。

 この胸騒ぎを沈めるには、安定感抜群の大エース・攝津正に続く、もう一枚の先発の柱が必要だろう。その1番手に挙げたいのが、2012年ドラフト1位入団の東浜巨。昨季終盤に3連勝、オフはウインターリーグで4勝をマーク。充実一途の先発候補右腕は、昨季の登板回数を28回2/3で留まった。これは1年目に31イニング投げると次の年には資格を喪失するというルールがあるので、首脳陣はあえて30イニング未満に抑えていたのだ。

 チーム全体で新人王獲得を応援されている東浜。昨季の規定投球回数到達者は攝津だけという状況を打破するためにも、ファンも“2014年新人王・東浜巨”の誕生を祈ろう。

応援ポイントその3

ポストシーズンの呪いは解き放てるのか?

 ソフトバンクの最大の“呪い”と言われると「クライマックスシリーズ(以下CS)で勝てない」ことだと誰もが思うだろう。さかのぼること2003年のダイエー時代に日本一になった後、2004年から導入されたプレーオフ制度により04、05年とレギュラーシーズンは1位ながら、2年連続で日本シリーズに駒を進めることができず。さらに06、07年と続けて3位でプレーオフ(2007年よりCS)に進出するも敗退。08年にはパ・リーグ最下位に転落してしまった。秋山幸二監督に代わったあとも、CSで涙を飲む年が続く。唯一、2011年は圧倒的な戦力で、リーグ制覇、CS突破、日本一と駆け抜けていった。

 戦前の評価はダントツで、グリグリの本命視される。この戦力で打ち勝てないと、ソフトバンクの「ポストシーズンの呪い」は相当な重症になってしまう。しっかり応援して、今年こそ、解き放て!


△2013年セ・リーグ4位:中日の応援ポイント▽

応援ポイントその1

“ナゴド神話”崩壊を食い止めろ!

 2011年までの落合政権時代には無類の強さを誇った、本拠地・ナゴヤドームでの試合。実はその“ナゴド神話”が崩壊しつつあるのをご存じだろうか。過去5年のナゴヤドームでの戦績をみると、昨季は29勝38敗1分と初めて負け越したシーズンとなった。

 2010年は脅威の勝率.750を誇り、11年と12年はチーム防御率1点台と、ナゴヤドームで戦う相手チームは何かに取り憑かれたような“金縛り”状態だった。しかし昨季は勝率.433で防御率は3.17と急降下。これは由々しき事態だ。

 他球団が恐れていた“ナゴド神話”を復活させるためにも、今シーズンのホームゲームでは、より一層の応援をお願いしたい。

応援ポイントその2

フレッシュな若手野手を応援しよう!

 その“ナゴド神話”全盛期。中日の強さの秘密は、固定されたスタメンで戦うところにあった。しかし、当時のメンバーは、選手兼監督に就任した44歳の谷繁元信を筆頭に、和田一浩が42歳、荒木雅博は37歳、森野将彦は36歳と、かなり年齢を重ねている(今年の満年齢)。昨季のスタメン野手の平均年齢を調べると、中日は33.0歳でセ・リーグのなかで断トツのトップ。最も若いヤクルトの28.9歳と比べるとその高齢化は一目瞭然だ。

 成長著しい平田良介、正捕手争いに食い込んで欲しい松井雅人、期待され続けている堂上直倫ら20歳代中盤の野手がどれだけベテランを脅かすか、注目しよう。


▲松井雅人


応援ポイントその3

コストカットを乗り越えろ!

 後はお節介ながら、昨オフの契約更改の話を。新しく就任した落合GMがその辣腕を振るい、12年ぶりにBクラスに転落した選手たちの年俸をバッサバッサと切っていった。減額制限もなんのその。落合GMは気持ちよいくらいに、コストカッターに徹していた。

 印象深かったのが、選手たちの反応だ。あれだけ減俸されたのにも関わらず、反旗を翻す選手は誰一人としていなかった。「元監督に言われたら…」という向きもあるだろうし、逆らうこともできない。ダウン提示に不満があっても納得できない交渉だとしたら、選手たちのモチベーションは気になるところ。

 もちろん今シーズンに結果を出せばその分、給料に反映されるのがプロ野球選手。その辺りを十分理解して、モチベーションに変えている選手と、そうでない選手がいたとしたら、シーズン中の空中分解は避けられないだろう。いずれにせよ、そんなモヤモヤを吹き飛ばせるのは、スタンドからの大声援しかない。選手のモチベーションを上げるような、ファンの応援を期待したい。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。“ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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