週刊野球太郎
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スカウト的観戦者カルト座談会・エクストラPart1――大学生編

 6月16日に発売された『野球太郎No.015 2015夏の高校野球大特集号』。この号で早くも4回目となった人気企画が、ネットを中心に情報を発信するアマチュア野球フリーク5人がドラフト候補をメッタ斬りする「スカウト的観戦者カルト座談会」だ。今回も8ページに渡り、今年注目の選手たちをピックアップし、熱い議論を交わしている。

 さてこの座談会、実は毎回、誌面に掲載できている情報は「一部」でしかない。というのも、収録時間は4時間以上に及び、あまりの情報量にとても誌面に収まりきらないからだ。そこで本コーナーでは「スカウト的観戦者カルト座談会・エクストラ」と題し、誌面からこぼれてしまった、こだわり情報を掲載していきたい。今回は「大学生」編。
※座談会は5月9日に行われました

〈座談会出席者プロフィール〉

蔵建て男(座談会では『蔵』)
人気ドラフトサイト「迷スカウト」の管理人。ネットスカウトの草分け的な存在で、プロスカウトとの交流も。プロでは港の見える球団のファン。Twitterアカウントは@ kuratateo。

柳川 貴裕
有望選手の確変ポイントを見逃さないネット裏のハネ師。“しったかぶらない”“固定観念にとらわれない”“選手の「ハネる」瞬間を見逃さない”がモットー。Twitterアカウントは@sandp_33。

yuki
1996年から長年に渡って続く老舗サイト「ドラフト会議ホームページ(http://draft-kaigi.jp/)」の管理人を務める。Twitterアカウントは@draft_kaigi。

?梨雅男
幅広い人脈を駆使して、高校野球の映像収集をする、マニアックなビデオ観戦者。現役草野球プレーヤーでもあり、昨季は30試合に出場した。

ファームゲームイーター(座談会では『FGE』)
2軍マニア&遠征好きが高じて、アマ野球観戦にも進出。地方大学や独立リーグを愛し、偏執的な観戦スタイルを貫く。高校野球は未経験ながら、大学では硬式野球部に入部した。

不思議な投手、唐仁原志貴(福岡大)


─── 大学生投手で気になる存在といえば?

 福岡大の唐仁原志貴ですかね。僕が3月に見たときは球速が135キロぐらい。キレもないし、ストレートも結構当てられていました。シーズン開幕まで1カ月あった時期でしたけども、シーズン後に良くなったのかどうか。

FGE 良くなってません!

─── 毎年、6月・11月の全国大会のときだけいい印象もあります。

 そう。はまったときはすごいピッチングをするんですけど。自分でもそのメカニズムをよく理解していない。ストレートも全く打たれませんでした。

yuki 面白いピッチャーですよね。

FGE 西武にいった大石達也みたいな感じ。噛み合ったときのピッチングはスゴい! ただ、育てるのは難しい印象があります。


─── 投手で他に気になる存在といえば?

FGE 福島大の加藤由真、福岡教育大の緒方雄大です。国立大で140キロ出すピッチャーっていうのは、なかなか貴重なんじゃないかと。特に緒方は、変化球も多彩ですし、内外角に投げ分けもできて、かつて九州共立大の大瀬良(大地/現広島)に投げ勝ったことがある、というのも納得の内容でした。

柳川 打者で言えば、亜細亜大の藤岡裕大は結構良くなっていました。藤岡が面白いのは、オープン戦では、いつも背番号が重たい番号なんです。何かやらかしてしまったのか、打順も下位スタート。でも、リーグ戦が始まると、他が打てないからどんどん打順も上がっていって、結局、藤岡頼みになってしまう。これは、それくらい能力が抜けているということ。ただ、今年は意識がずいぶんと変わったみたいで、体重を10キロ増やしたとかで。

─── 身体がひと回り大きくなっていました。

柳川 昨秋、リーグ戦で首位打者を獲ってもあまり気にならなかったんですけど、今年は、いい打球が目立つようになってきました。打席姿を見ても、「あれ? 藤岡ってこんな大きかった?」と目に見えてガッチリしています。やっぱりプロに進むような人間は、意識が目に見えて変わるなぁ、と実感しています。

 入るチームにもよるけど、プロでさらに能力が引き出されるかもしれない。そのくらい、ポテンシャルはある選手です。

慶應義塾大・谷田と横尾に言いたいこと


─── 柳川さんが以前、本誌(『野球太郎No.14』)で「これからハネる」と取り上げた横尾俊建(慶應義塾大)はその後どうですか? 結構、活躍してるんじゃないかと。

柳川 全然! あれじゃダメですよ。横尾と、あと谷田成吾(慶應義塾大)にも言いたいことがあるんですけど、ホームランの目標本数を口にするよりも、まずは打率を残せ、と。そうすればある程度、ホームランもついてくる。どのインタビューを見てもホームランのことばっかり言ってるんです。自分のことをスラッガーだと思ってるんでしょうね。横尾に関しては、色気を出してホームランを打ちたいのもわかるけど、右打ちもできるんだから、それで行け! って思うんです。

?梨 横尾のいちばんいい打球って、やっぱり右中間ですもんね。

柳川 右中間の打球が伸びるのが横尾というバッターの一番いいところなのに、なんであんなに引っぱりにかからなきゃいけないのか、って思っちゃうんです。ただ、打席に入る意識は前よりは丁寧になってきています。ユニバーシアード代表にも選ばれたけれど、それは「ハネる」ための第一段階をクリアしたにすぎません。


─── 谷田については?

柳川 谷田はチェンジアップが抜けたのをポンっと打ってホームラン、というパターンが多いんですよね。でも、感覚で叩きにいくから、ミスショットも多い。「春と秋で7本ずつ、14本打てば(高橋)由伸さんに追いつけます」とか、夢物語を語っている暇があったら、打率を最低3割5分以上残しなさい、と言いたいですね。

─── 谷田は高校時代から好青年で、人の裏をかくとか、そういう教えを今までされてきてないんじゃないかと。

柳川 それはありますよね。受け身な感じなんです。

─── 蔵さんは、この2人、横尾と谷田をどう見てますか?

 僕はあんまり買ってないです。横尾は確かに、少しずつ意識が変わってきたのは感じてるんですけど、やっぱり爆発しないんですよね。いつも不発というか。どこかで固め打ちとかがあるといいんですけど、そういうのがあまりないんですよね。

yuki 同じ慶應義塾大出身ってことでいけば、4年春に大ブレークした伊藤隼太(阪神)的な感じで行ってほしい、二人もいればどちらかは成長するだろうと思っていましたが、どちらとも結果を出せず、残念な結果に。

柳川 まあ、谷田は大丈夫でしょう。あと、よほど打率が悪くなければ横尾も指名されると思っています。あとは、本人がどの順位で入りたいのかっていう問題。成績も残していないのに、2位じゃなきゃ、1位じゃなきゃ、って言い始めたら、それはまた話が変わってきますから。


 今回の記事で登場した藤岡裕大(亜細亜大)、谷田成吾、横尾俊建(ともに慶應義塾大)も参加する大学日本代表は、更新された前日の6月29日にNPB選抜と戦い、そして、7月6日に開幕するユニバーシアードに向けて旅立つ。彼らを含めた選ばれし精鋭たちは、韓国の地でどのような歴史を刻むのか。そして、今秋のドラフト会議に向けて、どのようなアピール、進化を見せてくれるのだろうか。注目してほしい。

(構成=オグマナオト)

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