「タイガースが超変革をされている、大変すばらしい。今年は若手を使うなど、ようやってくれとる。ファンはコレを求めていた」
昨年は株主からこんなお褒めの言葉をいただいた経営陣。だが、「会社もそうだが、借金はよくない」「今の成績では変革詐欺と言われても仕方ない……」とBクラスに沈んでいたチームに対し、チクリと毒矢も吹かれていた。
しかし、今年は何といっても大健闘の2位。「優勝できなければ、監督、コーチ、選手の力ではなく、フロントの大改革をお願いしたい」との声はあったが、例年のような「監督を交代しろ!」と言ったような発言は出なかった。
去年は「なぜ打撃コーチが片岡(篤史)なのか? 1軍に上がるとみんなダメになる」と強烈なダメ出しが入ったが、今年は打撃もおおむね好調。片岡コーチもホッとひと安心したのではないだろうか。
危なかったのは鳥谷敬だ。昨年は不調に陥っていたが、これまでの貢献の甲斐あってか(?)、議題には登らなかった。しかし、2年連続の不振だとマズイ。2012年の株主総会では高額年俸の城島健司と小林宏之、2014年には福留孝介が槍玉に挙げられ「不良債権」とコキ下ろされた。
年俸4億円の鳥谷。今年の好調が悪ければ、生え抜きとはいえ、何と言われていたかわからない。こちらもホッと一安心だ。
その他、「阪急OBを積極的に取り入れて、阪神と阪急のオールスターでやってほしい」などの質問が出たが、一際注目を集めたのは阪神電車のカラーについての質問だ。
阪神電車の急行系列車はオレンジ色。これに憤りを感じた株主ファンが「名前も言いたくないあの球団の色を変えることはできないか」と発言。会場は大きな拍手に包まれた。
確かに西武鉄道の黄色や総武線の黄色は気にならないが、確かに阪神電車のオレンジ色はなぜか巨人を連想してしまう。フワッとした違和感を持っていた人も多いのではないだろうか。
結局、リニューアル時に検討との回答だったが、阪神電車からオレンジ色が駆逐される日が来るかもしれない?
ともあれ、金本阪神の方向性は今のところ「異議なし」。例年ならば不満が多かれ少なかれ噴出するところ。金本知憲監督に追い風が吹いている。
文=落合初春(おちあい・もとはる)